アメリカという甘美な幻想

南カリフォルニアはオレンジ郡に住むオヤジです。妻共々サラリーマンでしたが、2011年にグリーンカードが当たり、アメリカへの憧れに抗しきれずに2012年10月に移住してきました。個人輸入代行やコンサルタントを生業にした後、2016年からは会社員(人事、法務など)に。移住する遥か前から積み重ねてきた様々な「アメリカ体験」も含めて文章に残すためにこのブログを書いていますが、会社員復帰以降は忙しすぎて更新は稀に。。。面目ない。

物価

アメリカの物価に対する雑感(高いもの編)

「アメリカの物価は安いものは極端に安い」という話を前回書いた。おさらいすると、モノやサービスが極端に安くなるのは「大量生産できている商品をそのままシンプルに、何の付加価値もなしに売る場合」だ。

しかし、逆に大量生産品でも一個売りの場合や人の手間がかかっているモノ、そして「アメリカの国柄を反映したサービス」は途端に高くなることが多いのだ。そこで今日は「何でこんなに高いの!」というものの紹介だ。

 
◆車の保険 

まず「アメリカという国の国柄」が理由で極端な高値になっているのだろうと思われるサービスで、しかも生活上必須のものの代表例は車の保険だ。東京では車を持っていなかったから詳細は知らないが、日本の保険のCMを見ていると2万とか3万とかくらいから保険に入れたはずだ。

だが、僕と妻は
1300ドル(156000円)払っている。勿論保証内容を最小限にすれば少しは安くなるのだろうが、それでも二人で500ドルなどという商品はない。恐らく訴訟社会のアメリカで事故ればとてつもない賠償金を請求されかねないため、それを見込んだ保険料設定になっているのだと思う。「アメリカの国柄」と言った理由はこれだ。僕らの保険もフルカバーだ。下の写真みたいな目にあったし。

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2013年10月、左折中に信号無視のおばあさんに追突され、バンパーが死ぬ

 
◆医療費 

そしてもう一つの代表例が医療費だ。アメリカの健康保険制度というのは日本の国民皆保険とは全く違い、「民間の保険会社の保険商品にユーザーが好きに選んで入っていい」というものだ。日本でサラリーマンをやっていれば給与額と保険料は比例するが、アメリカではそんな仕組みはない。会社は私企業である保険会社と法人契約し、従業員は会社のルールにのっとり保険料を負担する。


個人事業主は日本では国民健康保険に入り、その保険額は所得に連動するはずだ。だがアメリカは保険会社を自由に選んでいいし掛け金も懐事情による。だから、貧乏なら貧乏なりの掛け金で、お金持ちはお金持ちなりの掛け金で商品を選べる。結果、一般人と金持ちのカバー内容は全然違うものになる(なお本当の貧困層には政府が保険を用意している)。

 

たとえば「保険会社が負担を始めるのは医療費が300ドルを超えたところから」、という契約になれば(普通の庶民は大体そんな契約になる)、もし医療費が298ドルだった場合自己負担は100%だ。日本なら500円でも5万円でも3割負担なのに。

 

しかも、もしあなたが何らかの事情で無保険だったら、そしてもし「たかが盲腸」でも患ってしまったら、恐らくあなたは真っ青になるだろう。何しろ手術にかかる費用は最低でも20000ドル(240万円)だ。標準的な内容の保険に入っていれば年間の負担総額は5000ドル程度の契約になっているはずだから差し引き15000ドルは保険会社持ちだが、無保険なら全額負担だ。しかもしかも、あなたが無保険とわかったら手術を拒否される可能性だって低くない。アメリカは怖い。

 
◆住居賃貸料

ほかに生活に密着したもので特記すべきは家賃だ。僕の家(コンドミニアム)は60平米で日本風に言えば1LDKだが、これをもし借りるとなると相場では1350ドル(今のドル円レートでは162000円)払う必要がある。駅から10分のところにある僕の赤羽の3LDKのマンション(恥ずかしい呼称だ)を貸してもそんなに高い家賃は取れないのではないだろうか。

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我が家のリビング

南カリフォルニアの(一応)都会にあるとはいえ、まだまだ手つかずの土地も豊富にある環境だ。なのに、曲がりなりにも東京23区内のターミナル駅から10分の場所にある3LDKのマンションの賃貸価格が、そんな場所と比べ同じか安いっていうのは普通ではないと僕は思う。アメリカではサラリーマンや学生さんの中にはルームシェアで何とか負担を抑えたがる人も多いが、それは当然のことだと言える。

 
◆単品売り 

あと身近なところでは、モノの「一個売り・一本売り」には気を付けた方がいいだろう。たとえば冷蔵庫で冷やされたコーラ(550cc入りペットボトル)は一本200円かかる。これはスーパーでもコンビニでも一緒だ。350㏄入りの缶コーラなら数ケース単位での購入なら1本あたり25円で買えるのに200円払ってどうするの、って話だ。ガムも一個単位なら120円だ。3個セットなら200~240円程度なのに。

 
◆安いものの追加情報 

生活密着品やサービスで高いモノの例で思いつくのは以上のような感じだが、結局のところアメリカの物価の話になれば「安い事例」のほうが多い。生鮮食品は普通なんでも圧倒的に安いし。(ただ意外と卵が高い。普通サイズで普通品質の場合、今は1ダースで260円くらいだ。ご注意願いたい)。なので最後にまた安いものの例を数点あげて今日は終わりにしたい。

 

<肉類>

鳥肉は1パウンド(453g)で1.5ドル(180円)で買え、しかも非常に臭味がなく旨い(豚も安くてまあまあ旨い。牛だけが安いがまずい)。

 

<光熱費>

僕と妻でアメリカに来てから、ガスは月平均9ドル、電気は月平均13ドル程度にしかなっていない。東京で暮らしていたころのガスや電気の価格は詳細には覚えていないのだが、毎月光熱費は両方で最低でも月平均1万円は行っていたはずで、2500円で済んでいたという記憶はない。

ただ、単位あたりの価格が安いのは確かなのだが、それ以上に重要なのはここの気候である。何しろエアコンを使わなくていい。夏は暑いけど湿気がないから暑がりでない限りエアコンはいらない。冬は温暖でストーブとかがいるのはせいぜい10日前後だ。この気候が電気ガス代の最小化につながっている。なお、上下水道については、僕の住んでいるコミュニティーが固定の管理費の中に組み込んでいるのでいくらなのかわからない。

 

<ガソリン>

ずっと昨年夏くらいまでは1ガロン(3.78リットル)あたり3.5ドルだったが、今は2.3ドルになっている。リッター換算で0.6ドル、72円だ。なお、カリフォルニアはガソリンは高い方なので、安い州なら更に安い。この記事を書いている現在一番安いのはオクラホマ州で「ガロン平均1.84ドル」だ。これをわかりやすく円とリッターで言うと「リッター58円」となる。

 

こんな感じだ。

アメリカの物価に対する雑感(安いもの編)

僕は輸入代行という仕事で日本のお客様から日本円で代金を頂いているので、アメリカで生活してるのに未だに円を基準にしてモノの値段の高低を感じることが多い。

なので、1ドル120円の今、アメリカのサンヨー食品が作り、日系スーパー「ミツワ」で5個入り1パック3.99ドルで売られている「サッポロ一番みそらーめん」の値段は、僕にとって「3.99ドル」ではなくあくまで「約480円」ということになるし、2年前1ドル80円だったころは「約320円」だったから、今の値段は「異様に高いなぁ」という感想を持つ。言うまでもなく「サッポロ一番みそらーめん」は一貫して3.99ドルなのだが。

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日本で「サッポロ一番みそらーめん5袋入り1パック」はいくらだっただろか。正確な記憶はないが、近所の西友で渡米前(2012年)に198円とかで売っていたような記憶がある。従ってアメリカ製造版はそれより高いということになるわけだが、これは「日本のラーメンの味に近づけたラーメン」を製造する原価が結構アメリカでは高くなるからだと思う(
アメリカ産サッポロ一番みそらーめんの味は、日本のものに肉薄している)

この理論の基礎となる事例として、アメリカ現地生産の「日清のカップヌードル(以下「CN」)」があげられる。一度食べてみるとわかるが、当該CNは、下の写真の通り化粧箱もどきの不必要な「梱包」がされて高級感が醸されているにもかかわらず、味は日本のものとは比較にならないほどチープだ。

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スープには日本の即席めんならどんなものにでも必ず感じることが出来るはずの鳥、豚、または魚介などのダシ成分の味がほとんどなく、奥行の何もない醤油と塩味のお湯を飲んでいる感じがする。加えて具もひどい。日本のものには採用されている肉も卵も一切含まれず、ニンジンの切れ端とグリーンピースなどが散見されるだけだ。

日本のモノに比べると明らかに低クオリティーなこのCNは、やはりそれ
に見合う低い価格がきちんとついていて、Costcoなどに行けば24個入りが7ドル以下で買える。1個30セント弱、円換算36円だ。ここまで原価を抑えて商品を作れば、当然売値もここまで安くできるということなのだろう。ちなみに日本から輸入した赤いきつねは大体いつも4ドル(480円)する。50%は物流コストだろうと思う。

では1ケース12缶入りのコーラ(1缶355ml)が4ケースで10ドル(+税8%+CRV)は安いのだろうか。

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写真はペプシだが、コカ・コーラも同じような価格で売られている


「CRV」というのはカリフォルニア州が飲料のボトルや缶に課しているリサイクリングフィーで、購入数に応じ数セントから数十セントかかるのだが、これはまあ無視して考えて、コーラ48缶が10.8ドルということは:

 10.8÷48缶=0.225ドル
 0.225×120円=27円/缶

である。これはやっぱり安いとしか言いようがないだろう。しかし…1ドル80円の時だったら18円/缶だったのか…。

日本の物価と比較したいものはまだ他にもある。ビールだ。

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実はアメリカでもアサヒスーパードライ、キリン一番搾り、サッポロ黒生が売っている。日本からの輸入ではなく現地生産のものだ。渡米以来ずっとコロナを飲んでいたので気付かなかったのだが、一月ほど前日系スーパーで価格を見て腰を抜かした。いや、正確には下のような宣伝ポップを読んだ後、計算しながら腰を抜かした。

セール!アサヒスーパードライ 24缶 14.49ドル+Tax+CRV

「14.49ドルで24本か。安そうだな…。あれ、1本いくらだ?あれ、60セントくらい?嘘、ビールが60セントってあり得る?」などと言いながらアイフォンの計算機を使って税込で約65セントであることを確認。さらに120円を掛けて大体1缶あたり78円であることを確認し、そのスーパードライを買ってみた次第だ(
しかし「今1缶78円」のビール、2年前は「1缶52円」だったのか…)

それから1か月、上述の3種類のビールは全て試してみたが(サントリーのビールはこちらにはない)、いずれも日本のものとは味が違っているもののまずくはないし、コロナは24本で20ドル前後なので費用対効果も日系ビールが上であるため、今はこの3種をローテーションを組んで飲んでいる。なお、アメリカの代表的なビールであるバドワイザー、ミラー、クアーズも24本で20ドル前後で買えるが、ご存知のように味が薄すぎて水を飲んでいるようなので、僕は間違っても買わない。

とうことで、一旦大量生産の軌道に乗った商品は、アメリカでは非常識なほどに安くなる。Costcoもウォルマートも「その値段はないだろう!安すぎる!賃金の安い発展途上国から搾取しないとそんな値段は実現できないぞ!」という低価格な品物で溢れている。ところが、料理人や職人などが時間と手間をかけて売るモノやサービスとなるとアメリカは極端に高くなる一面もある。そのあたりは近々「アメリカの物価に対する雑感(高いもの編)」を書くつもりなので、そこで触れたいと思う。
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