既に昨年から円安の傾向は顕著であり、輸入代行業からの業態転換などをしなければ早晩立ちいかなくなることは自覚していて、生きていくためにどのようなことをすべきかずっと模索を続けてきたが、ここしばらくずっと1ドル121円台が続きいよいよ待ったなしの状況になってきた。だからブログなどのんきに書いている暇はないのだが、配送会社の集荷員氏を待つ間、ちょっと現実逃避をしようとこの文章を書いている。

 

アメリカに住んで2年半、僕はアメリカでの運転の怖さを本当に実感している。住んでいる地域にもよるのだろうが、アメリカ人の運転が信用できないのである。交通量が多い南カリフォルニアはただでさえ危険が多いのに、彼らは飛ばす。支線から本線への合流も1キロ間隔であるのに、彼らは飛ばす。うまいと思っているのかいい気になっているのか知らないがはた迷惑である。

 

運転中のメールは高額の罰金が科されるのに平気でやっている。無保険車両は違法なのにそうする者も少なくなく、こういう人に車をぶつけられたり怪我を負わされたすることが少なからず発生するため、保険には「相手が無保険の場合」というオプションがある(ちなみに日本のような自賠責保険の仕組みはない)。当然このオプションをつければ保険料は更に高額になるが無保険の者はそもそも資産がないので、ぶつけられ損で泣き寝入りをしないためには加入せざるを得ない。本当にはた迷惑である。

 

アメリカに旅人として訪れていたころの僕は、このようなことを考えたことはなかった。日中の空いている時間に、田舎道を快適にドライブすることが多く、都市部のラッシュ時や夜に走る際の危険性をそこまで感じる機会がなかったからだ。

 

むしろ自分の運転が気になってしょうがなかった。初めてレンタカーを借りた2002年には、以下のような「苦難」があった

 

 1)運転中どこを走っているかの感覚がつかめず、車線の右側にどんどん
   ずれていってしまう。


 2)ワイパーとウィンカーのレバーの取り付け位置の違いに慣れず、方向を
   示すつもりでウインカーを作動させてしまうことが数十回あった。


 3)左折した際、対向車線に入ってしまうことが数回あった。

 

恐ろしいのは3)で、左折が小回り、右折が大回りである日本の感覚のまま左折すると、漏れなく対向車線に入ってしまう。「クレイジー!」という顔で見られることの恥ずかしさなどどうでもいい。これは事故につながる可能性が非常に高い最悪のミスなのであって、乾いた砂漠の真ん中でワイパーをジャリジャリと回してしまう間抜けなミスとは次元が違うからだ。

 

実際日本での「右ハンドル左側通行」への慣れは厄介だ。2006年、既に5回目のドライブ旅行でのことだが、僕はユタ州のGreen Riverという小さな町で対向車線を逆走してしまった。夕方、サンドイッチでも買おうかと、人気のないメインストリートをスーパーはないかときょろきょろしながらゆっくり走っていたのだが、この時見事に対向車線を走っていたのだ。

 

結局長さ500mほどのメインストリートの端まで来てしまった時に警察に停止を命じられたのだが、同乗した妻も僕も指摘を受けるまで対向車線を逆走していたことに全く気づかなかった。警察官は日本からの不慣れな旅行者ということで大目に見てくれたが、5回目のドライブ旅行でもまだこんなミスを誘発してしまう「慣れ」の恐ろしさを再確認させられた事件だった。

 

こんな経験から自分の運転に対して全く過信しなくなった僕は、「セレブ」を怪我させたり数千万の車にぶつけたりしないようアメリカ移住後一層慎重に運転するようになった。だから都市部を無謀に飛ばしたりメールをしながら運転するなどの馬鹿な真似は1ミリも発想することはない。しかし残念ながら、いくら自分が気を付けても「馬鹿」は周りに結構いて、いつ巻き込まれるかわかったものではないのだ。

 

これからアメリカに住む方。是非満喫してほしいが、自分の運転への過信と相手の運転への過剰な信頼はどちらも危険だ。レンタカーでドライブ旅行を計画中の方。日本での運転歴が長いほどに潜在的な事故リスクが高いことを自覚し、アメリカ、特に都市部においては超慎重に運転されたい。


それにしても今日は今年最高の抜けるような青空だ。気温も30℃を越えてきそうだ。窓から入ってくる乾いた風が心地いい。この地に住み続けるために努力と工夫を惜しまない覚悟はある。あとはそれが成就するか、だ。