南カリフォルニアは11月から2月、3月くらいまで雨季だと言われていますが、僕が日本から越してきた2012年秋から2016年秋まで、本当にやばいほどの雨不足だったんです。2013年夏ごろから、芝生に水をやることを制限する条例を出す自治体も多数に上り始め、そもそも芝生から(水があまり要らない)他の植物に植え替える自治体さえあったのです。下の水不足マップを見れば、その深刻さがわかるでしょう。

2015日照りマップ画像

OCは南西部(海側)にあります。酷い日照り地域に入っています


ところが2016年の12月に様相が一変しました。時に洪水を起こすような豪雨も数回含め、とんでもない雨量をもたらした雨季らしい天候が翌年の3月初旬くらいまで続いたのです。そ
の結果、雨季終了後の春はどんな春になったかといえば、草花が咲き乱れる美しい春になりました。そんな春を体験するのは渡米後初めてのことでした。


2017年から2018年の雨季はまたしょぼい雨季になりましたが、20182019のシーズンは、これまでの最高(最悪)と言えるほどの雨季になり、またもや大量の草花が咲き乱れ、しかもなかなか枯れない春となりました。というか、今でもそういう状態なんです。


春先、ローカルニュースは何度もこの大雨が生み出した現象を取り上げていました。例えば、カリフォルニアの南東部側にあるレイクエリシノア(Lake Elisinore)という町を囲む山の斜面に大量のケシが咲き乱れ、これを見物する人のおかげで渋滞が起きたというニュース。

僕は何度もこのレイクエリシノアという町に行っていますが、春先にケシが咲いている風景など記憶にありませんでした。そしてそのニュースを聞いて慌てて訪問してみましたが、確かに山肌が一面ケシで覆われていました。

USA-Today_LAKE-E-POPPY
USA Todayの記事より

この大雨で2012年以降初めてカリフォルニアの全域で水不足が解消されたという喜ばしいニュースもあれば、花粉が例年になく大量に舞うことになり、人々がアレルギー症状に苦しんでいるというニュースもありました。


その最大の犠牲者が僕であることは間違いない。

そう確信したのはアメリカ東南部の旅行を終えた直後の54日でした。

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禁煙関連のエントリー中に書いたように、今年になってから僕の健康状態は最悪でした。咳、鼻の奥の不快感、微熱、寒気(さむけ)、筋肉痛のような風邪様の症状が1週間単位でぶり返し続け、加えて経年劣化した歯(クラウンやインレー)の放置とストレスを原因とした顎関節症が2月中旬に発症(1か月継続)。4月上旬には38.6度の熱が出た本物の風邪で3日間寝込みました。


この大風邪を引いたとき、僕は上述したアメリカ東南部の旅行に427日から54日まで妻と共に行ってくることを計画しており、実際飛行機の予約を終えたばかりでした。これはまずいと思い、健康を取り戻すことに注力しようとしました。


顎関節症は歯の治療で治り、「本物の風邪」も1週間ほどで治ったと自覚できましたが、旅行に出かける426日を迎えても、風邪様の症状は残っていました。ところが何とか体調を70%くらいまで上げて東海岸に旅行に行ってみると、それ以降カリフォルニアに戻るまでの間風邪様の症状は一切出ませんでした。


54日夜、アトランタから自宅に戻ってきた僕は、鼻の奥に変な感じを覚え、同時に咳が出始めたことに気づきました。東南部ではおさまっていた症状がOCで復活したことに気づいた瞬間でした。


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僕は日本にいたころから、低気圧と寒暖差により風邪のような症状を主訴として体調を壊していた自覚がありました。アメリカに来てから数年の間も、体調不良は多くの場合低気圧と寒暖の差の影響だということが自覚できていました。しかし、2016年にサラリーマンになって以降、その不調ぶりは一段次元が変わりました。重く、長く、容易にぶり返すのです。

 

僕は長い間、「自分の理想に反してサラリーマンになったこと」や「自分のネガティブな思考がサラリーマン環境下で助長されてきたこと」により「自律神経系などが不調になっていること」が原因だと考えてきました。なので、昨年末に人生初めて「くしゃみ10連発」をしたときは、僕の健康レベルが低値安定しているところに寒さ(寒暖の差)や天気の悪さが重なったためこんなアレルギー症状が出たんだろうと考えました。

ですが、年が明けてから典型的な風邪のような症状が4か月も断続的に続き、しかも症状はさらに増悪しました。継続期間が普通じゃない。しかも増悪している。なんでだ。

自問した結果、ちょっと信じられない業務上の事案(事件)が1月から毎月連続して起きており、その間過去最高の繁忙レベルだったのでさらに基礎体力や抵抗力が落ちたのだろう、と思っていました。

が、東海岸に旅行に行っている最中はそれらの症状がぴたりとおさまっていたのでした。
こうした事実から、私の不調は場所に起因し、かつそれは2016年以前には僕の身の回りになかったもの、即ち特定の花の花粉のせいだとほぼ断言できるのです。

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その花粉をまき散らしている花は、この春大量に咲いていつまでも枯れない花。その名をブラックマスタードと言います。この花の名前をなんとか特定し色々調べてみたところ、情報が少ない花ではあったのですがアレルギーを引き起こす
「狂暴度」が高いことはしっかり確認できました。


2017年春。この花が咲き乱れるところを写真に撮って、このブログに載せていました。この花の名前を知らなかった僕は、「アメリカ版の菜の花」と勝手に命名していました。美しい風景だと思いながら。


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2017年の春の様子

今年は2月下旬ころ咲きだし、3月下旬にピークを迎えましたが、それ以降もまだまだ咲いていることに感心していたのです。ある集団が枯れても違う集団が咲き出すことを喜んでいたのです。ずっと美しい光景を作ってくれるこの黄色い花を愛でていたのです。


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今年3月のブラックマスタード。この時点で隆盛を誇りつついまだ栄えているという。

それが、私の健康を著しく損ねる花粉を長期間まき散らしていたとは。いや未だに、6月中旬を迎えるのにまだまき散らしているとは(ゾンビか!)。実は外来種だったブラックマスタード。カリフォルニアのネイティブの花を存続危機に陥れるほど爆発的に咲いています。そうしたことを知ってから、この花の憎らしさは筆舌に尽くしがたいです。

カリフォルニアは基本的に乾燥した砂漠地帯ですが、花粉症に悩む人は非常に多いのです。住む予定の方、事前に対策を。