アメリカという甘美な幻想

南カリフォルニアはオレンジ郡に住むオヤジです。妻共々サラリーマンでしたが、2012年10月に移住してきました。個人輸入代行やコンサルタントを生業にした後、2016年からは会社員に。移住する遥か前から積み重ねてきた様々な「アメリカ体験」も含めて文章に残すためにこのブログを書いていますが、会社員復帰以降は忙しすぎて更新は稀に。自由の国、アメリカを含めた全体主義への流れ。これを絶対に食い止めましょう!

保守

米東南部を巡る理解の更新(3-最終)

トランプ支持の源泉

前回からやたら時間がかかってしまい申し訳ない。忙しいのはいつものことだが、今回はパソコンの不調などもあって遅れてしまった。

トランプ大統領が、主としてアメリカの中流またはそれ以下に属する「白人保守層」から支持されて勝ったことは誰でも知っていると思う。しかし、その真の理由/原因についてはなかなか知ることはできないと思う。実際、父と兄が大統領だったジェブ・ブッシュやマルコ・ルビオなどを抑え込み、保守党内のレースで下馬評を覆せたのは何故か。これは僕にも疑問だった。

でも、前回述べたように、アパラチア以東の人々の一般的な特性、すなわちキリスト教原理主義的な考え方とその影響力を知って、その理由が見えた。すなわち、中流以下の白人保守層の一般的な思想、理想、希望、欠乏感、不満を最もくみ取れたのがトランプだった、ということだ。

この白人保守層の人々の多くがプロテスタントであり、大なり小なり大きな政府反対、銃器規制反対、中絶反対、同性結婚反対といった考え方に立つ。最右派になると進化論もビッグバンも認めないほどなだ。だから、昨今のアメリカは彼らには総体としてその反対に進んでいて「リベラルすぎる」ように見えており、大いに苛立っていた。

「自分たちの経済的苦境は我々の仕事を奪う移民のせいではないか?このような状況で何故オバマは健康保険の加入義務化などをするのだ?我々の税金を何故自分たちの意向に反して使われなければならない?誰に使っている?外国人?不法移民?異教徒?ふざけるな!」

こうした不満が募る中で、今までの保守政治家にさえ飽き足りなくなった中流以下の白人たち(多くの場合プロテスタントたち)とって、トランプは最も「良い候補者」だった。

当選して以降の言動からも、トランプが白人保守層の受けを意識していることは確かだと思う。たとえば中東から移民に関する無神経な、というかかなり野蛮と言っていい彼の政策を皆さんは覚えているだろう。テロ支援国の人間はグリーンカードの保有者お含めて一切アメリカに入国させないという、あれだ(後から撤回してはいるが)。

アメリカ(の白人たち)の利益を守る政治家であると思ってもらうには、仕事を奪う外国人の入国を規制する政策は当然打ち出したいところだ。しかもその外国人がイスラムならば、これ以上の大義名分はない。何故って、異教の外国人の入国を阻止しようとするトランプをプロテスタントが支持しないはずがないのだから。この際、政策が失敗または未遂に終わったかどうかは重要ではない。トライしないで信用を失う方がトランプには怖いのだから。

トランプは、その意味でしたたかだった。そもそも支持基盤はプロテスタントなんだから、そこにターゲティングした姿勢を見せるのはまあ当然のことだった。

僕が今「馬鹿だなぁ」と思うのはマスコミ、特にリベラルマスコミだ。多くのTVや新聞社は基本民主党寄りなので、トランプ出現以前から共和党側を叩いていたが、トランプが出てきて大慌てしダブスタ報道に拍車がかかった。

たとえば「不法滞在の移民を国外追放する」のは合法である。当然の措置とさえいえる。これを人道的観点から阻止したいなら正攻法でそう言えばいいのに、リベラルは対象者が「不法移民」であることを糊塗し「移民全体」に印象操作するのだ。公平に見て、トランプはそんなことは一切言っていない。

このSNSの時代、このような言論の矛盾や不公正はすぐにほじくり出される。結果、保守派の心に火をつけ、大統領選でのトランプの勝利や現在までの地位の安泰へと導いてしまった。

保守でもリベラルでもいいけど、ダブスタはもうやめないと。もう情報はマスコミだけのものじゃない。僕らは情報を与えられるだけの立場ではなく、情報を見抜き、自ら生み出すこともできる。近親相姦で妊娠しても中絶を許さない保守派や、北朝鮮を含む共産主義国家に手を貸すような左翼まで、アメリカには本当に多くの人たちがいる。僕はどちらに加担するのもいやだから正確で公正な情報が必要だ。「真実」や「公正さ」は「主義」の上にあるべきものだと僕は信じる。

ああ、最後はマスコミ批判というかダブスタ批判で終わっちゃった。以上、アメリカ東南部を巡る僕の理解内容の更新にかかるレポートでした。

トランプとマスコミとアメリカと

過激な歯の治療で歯痛はおろか体調を壊し、今日は自宅で静養することとなった。少しずつ書き溜めていたブログ用の文章がこの静養時間を使って仕上げられたので、かねてから宣言していた通りアメリカに住む僕のトランプ(敬称略)とマスコミに関する考察を今日は示したいと思う。言っておくが、長いよ。


◆トランプにまつわる報道の趨勢

「トランプはやばい」、というのは、彼の政策、言動が報道されるたびに多くの日本人も思うことだと思う。「アメリカを再び偉大に!アメリカをアメリカ人の手に取り戻す!」、というスローガンのもと、グリーンカード所有者でさえ、それが特定イスラム7か国から来た人ならば入国をも禁止するという大統領令を出したり(あとで一部撤回)、選挙中はメキシコに費用を出させて国境に高い壁を作るとか放言したり、大統領選中ロシアから協力を仰いだとか、北朝鮮に金正恩と同じレベルの言葉で応戦したとか、まあマスコミから聞こえてくる言葉は彼の「悪行」ばかり。アメリカのマスコミの趨勢は実際そんな感じだし、日本での報道ぶりもまあ同じような感じだろうと思う。

 

◆マスコミの「偏向」

ところで、僕が言う「マスコミ」というのは、CNNOne America NewsFox NewsNBC NewsABC Newsなどのテレビを指し、新聞は殆ど読んでいない。但し、新聞も含めてメディアがどのような論調であるかについては、インターネットで集約的に確認することが出来る。そして重要なことに気付く。それは、マスコミは「報道しない自由」を持っていて、自社の意向・論調が正しいと視聴者に思わせるべく、それに都合のいい事実は何度も時間をかけて報道するが、都合の悪い事実は殆ど報道せず、そして時に、事実の捏造さえ行うということだ。どこかの国に似ているようだが、今はアメリカの報道の話を続けることとする

 

ご存知の方もいると思うが、リベラルメディア、特にCNNとトランプは今鋭く対立している。トランプは、CNNの報道は「偏って」いて「捏造」まで含んでいて、虚報マスコミの代表格と位置づけている。現に彼はCNNの報道を「嘘報道(Fake News)」という率直な言葉で表現し、非難している。トランプが好きか嫌いかはとにかくとして、捏造はしてはならないことは誰にだってわかる。では「あのCNN」が、本当に捏造を行ったのか。

 

答えはYesCNNは、トランプが大統領選挙中にロシアから支援を受けていたという「疑惑」がある中、「米上院の諜報特別委員会は、トランプ大統領がロシアの投資ファンドと何らかの関係があり、かつロシアへの制裁解除に向けて大統領に近い人が動いているのではないかと調査をしている」といった内容の報道を行い、彼に追い打ちをかけようとした。しかしトランプはこれを「Fake News」と断じ、結果CNNは実際にこの報道を取り下げ、これに関わった3人の社員を解雇し、謝罪に追い込まれてしまった。

 

そもそも、大統領がトランプに代わってからアメリカの雇用が大幅に増え、明らかにアメリカの景気は良くなってきていることなど、CNNはもとよりNBCCBSなど大マスコミは殆ど報じていない。そんなことを報じてしまったら自社の意向・論調に都合が悪いからだ。CNNは民主党を支持しており、トランプを追い落としたいわけだが、その目的のために「偏り」を飛び越えて「捏造」という明らかに誤った手段を使ってしまったのだった。ただ、CNNが謝罪したことを知っている人はそうはいないはずだ。だってこれもやっぱり殆ど「報道されていない」のだから。

 

◆アメリカマスコミは政治思想を隠さない

アメリカではマスコミは自分の支持政党を隠すことはない。CNNや他のキー局はリベラル(民主党)であるし、FOXは保守(共和党)側だということは誰でも知っている。但し、これらが牽制しあうことも多いので、「嘘をつきっぱなし、捏造しっぱなし」はなかなか出来ない構図になっている。その意味で、どこかの国よりはマシだと思うが、やはり今はその国の話ではなくアメリカの話を続ける。

 

僕自身、政治的な考え方をマスコミが表明することは悪いとは思わない。むしろ是非自社の立ち位置は明確にしてほしいとさえ思う。件のCNNABC NewsNBC Newsなどのメジャーなテレビ局の報道チャンネルはほぼ全てリベラルであり、例外はFOX Newsくらいである。新聞はある程度左右均等な感じがあり、例えばNY Postは保守系だがNY Timesはリベラルであるといったように、都市ごとに左右の新聞社が一定のバランスで存在している感じがする。

 

このようにメディアが自社独自の政治的なスタンスを持っているということについてはアメリカでは公知なので、支持する陣営には好意的に、支持しない陣営には厳しく報道を行うというのもある程度当然視されている(ただ、それが公正で適切だと広く認識されているという意味ではない)。但し、前述の通りリベラルと保守は互いに牽制してメディア同士で批判しあうので、ある程度健全性もある。だから一たび一方が捏造でもしようものなら、他方のメディアがこれを報道し、追及する。

 

しかし、自社の論調や意向に沿わない事実を故意に報道せず、自社に都合の良いところを切り貼りして編集し、挙句捏造するという行為は政治的な立ち位置を超えて人間としてあってはならないと思う。そのメディアしか見ない人には、報道されないことは存在しないも同然になるし、繰り返しデフォルメされて報道された内容は、あたかもそれのみが真実のように印象付けられてしまうのだから。もう一回言うが、こんなことは左右関係なく許してはならないことだと思う。

 

◆ネットユーザーの反撃

但し、このネット時代に、そのようなやり口に気づいている人たちは非常に多く、現在守勢に回されたトランプ支持者などは特にこのマスコミのやり口に怒り心頭の状態である。トランプもマスコミとの対峙を厭わないタイプなのでCNNなどの左派系メディアの「捏造報道」を攻撃しているが、ネットユーザー(恐らく大半は保守よりの人々だろうけれど)も負けじとYoutubeTwitterなどのSNS上で「左派メディアのFake News」を盛んに非難している。

 

いずれにせよ、「トランプは危険だ、当選させてはならない、当選したのなら早々に降ろすべきだ」というような意図が先にあって、これに沿うようにリベラル系のマスコミは報道内容を構築する(オバマの時は保守系のメディアがそうしていたかもしれない)。捏造は論外として、そもそも自分の論調や意図に合わせて都合のいい事実のみを使い、都合の悪い事実は報道しないという手法で伝えられた情報は情報に値するのだろうか。何故「是々非々」や「両論併記」といった公正なルールがアメリカでも日本でも当たり前になっていないのだろうか。

 

◆僕の政治スタンス

僕は自分の政治的な意識を考えると、どうやら保守側に分類されるのだろうと自覚しているが、僕自身はリベラルの側面だって山ほど持っていると思っている。オバマケアには賛成している(どころか健保を国営的にしなかったのは生ぬるいとさえ思っている)し、銃規制だって当然だと思っている。なので、「保守かリベラルか」という政治的な分類自体には殆ど興味がない。僕にとって、全ての「主義」の最高峰に位置すべきは「ダブルスタンダードの禁止」という考え方の遵守だと思っている。ダブルスタンダードほど人品を欠いた行為はないと思うからだ。

 

人にはあれこれ言うくせに自分はそのルールの適用外にいる。こういうのが許されていいはずがない。そういう輩が法や倫理を説こうとするのを見ると、僕は本当に吐き気を催してしまう。要するに、「お前が言うな」ってことだ。そしてマスコミは、僕もかつてFM局に勤めていたからある程度実態を知る者として言うが、総じて「お前が言うな」と言われるような存在でしかない。「報道しない自由」を駆使し、ダブスタで「敵」を攻撃する。ダブスタでタレントの不倫を断罪する。おいおい、マスコミの中で不倫なんかやってる奴、僕は山ほど知ってるっつーの。高潔な人間ならダブスタだけは恥ずかしくてやれない。人様に意見を開陳するならそのくらいの矜持を持てよ、と僕は心底思う。
 

他方ネットも「玉石混交」と言われている。それはその通りだろうけれど、繰り返すがそんなもん大手マスコミだって同じだ。いや、もっと醜いとさえ思う。視聴率が欲しい。部数を伸ばしたい。よし、センセーショナルに行くぜ。おっと、政権寄りに発言すると左系の抗議は半端ないから基本は政権批判で面倒は最小化しとけよ、とかね。その程度でしかないのによくも偉そうな物言いが出来るものだ。そしてそのことを世界的に気付かせているのはネットなのだから、大マスコミがネットを批判するのを聞くと片腹痛くなる思いだ。

 

◆知人たちのトランプ評

前にもここで少し書いたと思うが、トランプに関するアメリカ人の思いは全く人それぞれだ。12年前にアメリカ旅行をしているときに偶然出会って以来交流があるミネソタの白人夫婦カーラとトムは共和党支持でオバマが大嫌いだ。オバマケアは彼らの苦しい生活を破綻させるかのような重い負担だという。彼らには国民皆保険制度なんて要らないし、政府にそんなものの世話を頼む気はないから放っておいてくれ、と怒っている。しかし、彼らはインドネシア人をホームステイに招くほど心優しい人たちであって、白人至上主義者なんかじゃない。

 

6年前に会社からリストラされて今自営業をしているサンディエゴの白人中年男性デイヴィッドは、不法滞在のメキシコ人やフィリピン人が許せないと言っていた。彼らは英語を話す気もなく、アメリカ文化に馴染もうとせず、ただ雇用を奪うだけ、だからだそうだ。当然トランプ支持だ。だが彼も白人至上主義者ではない。何故なら黄色人種の僕に対し、旅先で友好的な雰囲気で話しかけてきたのは彼の方だからだ。

 

逆に、僕が引っ越す前に住んでいたコミュニティーで仲良くなった白人男性ダグは、トランプをヒトラーと同一視するほどの危機感を持っていたし、最も親しくしていた白人男性キャメロンとその妻の白人女性ジェアンディは、トランプの支持者は「頭が悪いやつばかり」と明け透けに言っていた(但しヒラリーも嫌いだった)。

 

同じ白人でこれだけ違いがあるのだが、いずれも「普通のアメリカ市民」だ。そして僕は、彼らの政治的な思いに良否や甲乙をつけるつもりは全くない。アメリカは彼らの国であるし、彼らの民主主義の下で行われた選挙の結果、今回たまたまトランプ政権が出来たのであって、よそ者の僕がとやかく言う気は全くなかった。ただ、トランプにせよヒラリーにせよ、彼らを選ぶための情報はマスコミがもたらすものだから、僕は彼らの意見を聞くたびに「情報操作に踊らされた結果の意見でなければいいね」と心の中で思ったものだ。

 

◆僕個人の感想など

トランプがアメリカを分断しているという論調があるが、これは違う気がする。というか、ダブスタがここでも出ていると思う。トランプは不法滞在の外国人やイスラム過激派への強硬な対応を言い、「アメリカを自分の元に戻す」というスローガンを掲げて白人中流階級未満を中心に支持を得た。これがリベラルからの怒りを買った。それは間違いないのだが、オバマもこれまで自由意思で決めていた保険加入を国民に強制し、リベラルにさえ弱腰と言われた外交で「小さな政府(政府が持つ権限は軍事などにとどめ、他の税金の使途は国民が決める、みたいに政府の国民生活への関与を最小化する考え)」を旨とする保守派の大いなる怒りを買った。トランプがやっていることをアメリカの分断と呼ぶなら、オバマのこともそう言わないと公平な意見ではないだろう。

「北朝鮮と一戦交える可能性があるではないか。好戦的で危険すぎる」、という人もいるかもしれないが、トランプが大統領でなくても「やらざるを得ないときはアメリカはやる」のであって、外交・軍事に関する指導力や戦略のまずさから左右両方から非難を浴びたオバマでさえ、アフガン、イラク、シリアには軍事行動を行っているし、アルカイダのウサマ・ビンラディンを殺害したのはオバマ時代の米軍特殊部隊だ。もしオバマの軍事攻撃は責めずにトランプの北への強硬姿勢のみをあげつらうなら、それこそダブスタそのものだ。こういうのが積み重なってマスコミ不信が起きているのであり、アメリカが分断されているのだとしたら、その張本人は一義的にマスコミだと僕は言いたい。

 

なお、僕の住む南カリフォルニアにおいては、僕の感覚値では分断は起きていない。もう人種のるつぼと化しているこの地では、互いに分断しがたい依存関係が出来ているとさえ言える。白人は基本裕福で、むしろ肉体労働をしてくれるヒスパニックの人などがいないと困るし、黄色人種も基本裕福で、かつ子供たちは皆頭が良く犯罪も起こさない。ただ、残念ながら黒人のことはよくわからない。南カリフォルニアに住む黒人が少ない上に、住んでいる場所も限定されていて、あまりお見掛けしないからだ。

 

ビザ取得はトランプになってから明らかに厳しくなっている。移民弁護士とやり取りすることの多い人事の僕が言うのだから嘘偽りのない事実だ。弁護士は、「E(投資家)やL(駐在)は昔なら簡単に受かっていたのだ、最近急速に落ちる人が増えている。これは間違いなくトランプ政権になってからの傾向だ」と言っている。なので、そのような報道を目にしても「マスコミの偏向」ではないことを公平を期すためにお伝えしておく。しかし、日本人のグリーンカードホルダーまで国外退去させられる、といった心配は無用だし、そんな事実も兆候もない。もしトランプがそんなことをやったら、アメリカは全体としてそこまで愚かではないから、彼の政治生命は即座に終わり、司法は大統領令を再び却下し、我々の地位も短期のうちに回復するだろうという確信がある。僕はそのようなことが生じるとは思っていないし、仮に生じても特に不安はない。

◆最後に

ここまでの流れから、僕をトランプ擁護派寄りと思った人も多いのではないだろうか。しかしさっきから繰り返し言っているが、そうではないのだ。僕はマスコミの恣意的な偏向と捏造は人倫にもとる、と考えているのであって、保守的な考え方をするからといってトランプ擁護派と言われても困るし、逆にリベラルな考え方の部分をもってオバマ・クリントン支持派と言われても困るのだ。

 

そして最新のトランプ評を言うならば、やはり彼は「馬鹿なのかもしれない」と思っている。先日バージニアで白人至上主義者とアンチがぶつかる事件があり、今もアメリカでは大きな話題になっている。で、まさに昨夜寝る前に見ていたCNNでは、「トランプがあり得ない発言をした」と糾弾していた。白人至上主義者とカウンタ―側の対峙による暴力の発生で死者・負傷者が多数出たこの状況で、トランプは「喧嘩両成敗」とか「両陣営にいい人々が存在する」というような発言をしたが、これは断じて許されないというものだった。

 

正直に言って、この時点では僕はトランプの発言をそんなにおかしいとは思わなかった。白人至上主義者といえど、結社の自由や言論の自由を行使するのは憲法で守られた権利であり、そこにカウンター側が実力で止めに入ったために暴力がエスカレートしたのだから、いかに白人至上主義者の言葉が過激でも、カウンター側の行いが言論封殺にあたるという解釈は当然にできる。だから、憲法遵守の立場に立てば、むしろカウンター側の実力行使のほうが問題だと考えることも出来るはずなのだ。

 

だから僕は「CNNお得意の切り貼りとレッテル貼りが始まったのか」、と思ったのだが、次いで見過ごせないVTRが流れた。白人至上主義者は、ナチのようないで立ちで、松明を掲げ、「ユダヤ人は要らない」とか「白人の生活こそ重要だ」と唱えながら闇夜を行進していた。特に前者の発言は、憲法が認める言論の自由を逸脱していると言われても仕方がない。ナチのような服装で、ドスの効いた声で、少なくとも法的根拠の基づいていると考えられる「不法移民は出ていけ」ではなく特定の人種・宗教信奉者であるユダヤ人への差別的な言葉を叫んでいるその光景に、是々非々で言ってCNNの言い分の方が正しいと僕には素直に思えた。

 

だから、この状況にもかかわらず喧嘩両成敗だとか両陣営にもいい人はいるなどという言葉を発したトランプは、馬鹿以外の何物でもないと思えた。ごく少数の白人至上主義者(というか人種差別主義者)の支持はキープできても、マジョリティーの保守派でさえ眉をひそめるこの発言は、支持率の低下に拍車をかけるだけだろうし、勿論これはCNNの虚報でもない。これで一体、彼はどうやって自分の政策の正当性を担保し、そしてそれを実行する基盤を維持することができようか。次いで、リベラル思想の持ち主で著明な映画監督のマイケルムーアがゲストで出演し、「トランプはレイシストであり、今なお彼を支持するという者は同様にレイシストだ」と繰り返し言っていたが、彼を嫌う保守層にも相当な説得力があるだろうと感じた。

結論。トランプは強硬な保守思想の政治家以前に幼稚で馬鹿だ、というのが僕の意見。でも、だからこそ時間の問題で淘汰される存在だと思っている。なので、前からそうだったが、ここまで馬鹿であればなおのこと、アメリカ居住の日本人として彼への恐れは僕は全く感じていない。北朝鮮との軍事衝突に関しては、起きる可能性は否定しようがない。でもそれはトランプが交代すれば起きないというのは間違いだと思う。北のような非人道的な国は許してはならないというのはアメリカ人の大半の考え(≒正義感の発露)なので、保守もリベラルもやるときはやるのだから。

ではまた。

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