ホイ休憩。
ツイッターを開けるとその時のトレンドが紹介されますね。僕の趣味用アカウントにも容赦なく表示されます。そして昨日アメリカでは「#reopenaz」とか「#reopenpa」が入っていました。アリゾナ(のビジネスや往来)を再開しろ、ペンシルベニアを再開しろってなハッシュタグです。

再開派は「自分の自由は憲法に由来する」から始まり、「うちはスモールビジネスだ。このまま家にいても破産して死ぬ!店を開かせろ」とか「コロナなんてインフルエンザと変わんね―」まで、様々なレベルの主張をしています。

しかし、こうした人達の理屈は大体破綻しています。上のツイートにある画像では、女性が自分のビジネスを運営する権利を主張していますが、このツイートをした人自体は「客の命はどうでもいいのかよ?」と言っており、これへの返信ツイートもほぼこの女性の自己中心的な意見を非難する声で溢れています。

たとえば、「She clearly fails to understand that if her clients are sick or dead her business is still failing(もし自分の客が感染って死にでもしたら、もっと自分のビジネスが落ち込むってことが全くわかってない)」といった至極もっともな理屈です。「憲法下の自由」にしたって、他人を殺すような行動を行う自由まで合衆国憲法は認めちゃいまへんで。

このように本来は軽~く論破されて終わりだと思うのですが、現実は甘くないです。以下は昨日ツイートされていた様々な画像から。

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まず上で、医療関係者が仁王立ちしているのをよそに、デモ隊が正面の建物(アリゾナ州の役所)に向かって練り歩いていきます。

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そして、いよいよ建物の前に来たデモ隊の前で、彼女たちは壁となります。その前に立って「治療はウィルスより悪質」と黄色いプラカードを掲げる星条旗ファッションのおっさん。医療関係者の奥に回り込んだ星条旗2号の白いプラには「アンチマラリア薬こそが治療(の鍵)だ」と書かれてあります。その左横のプラは「ワクチンに入っているものは何か。鶏の胎児だ。子牛の漿液と猿の腎臓だ」などと書かれています。

一つ一つの事実の精査はあえてしません。とにかく、見るに堪えない頭の悪い光景です。Disgustingというのはこんなときに使うべきでしょう。そして医療関係の女性陣の心中はいかばかりか。星条旗が泣くよ。

次の写真は、ちょっと笑えるんですが同時に悲しみを誘います。

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ペンシルベニアのようでペンシルベニアでなく、勇ましいようで勇ましくなく、崇高なようで喜劇的な奇跡のプラカードなのですが、わかります?

まず、Pennsylvaniaの綴を間違えてしまっている。LibertyもLiberlyと書かれているようだ。極め付けは「#We the peaple」。さすがにこれは大反響を呼んでます。僕も「people」の綴を間違えるアメリカ人を初めて見たわ。ネイティブからすると「豆人間」みたいな感じになるみたい。肝心なときに何で簡単かつ重要な単語を何個も間違えてアピールしてるんだ!

そして、これがアイロニーなんですが。。。

 

上の記事によれば、3月中旬、60歳のオハイオの男性が、コロナを政治的策略だと決めつけ、オハイオ州知事に向けて「Bullshit!家にいたい奴はいればいい。バーやレストランを全部閉めさせる権利などおまえにあるものか!」とSNS上で息巻いていた。しかし彼は一週間前にコロナで亡くなっていた。。。

なんてことだ。ご冥福をお祈りしたい。でも彼は、自分が感染したと思ったとき、どんな気持ちになったのだろう。彼らの主張からすればコロナなんて大したことないし、そもそも再開しないのならコロナにかかって死ぬほうがマシってな意見なわけだったけど、人間なんて弱いもんで、本当にそんな潔い考えでいるのは大変でしょう。

罹患したことを知った後に彼は治療を受けたんでしょうか。報道によれば、テストは受けたみたいです。彼は自分にテストや治療を受ける権利があると思って受けたのでしょうか。それとも本当はそんな権利はないけど…と思いながら苦渋の選択で受けたのでしょうか。医療関係者にどのような顔で、言葉で、接するのでしょうか。再開派の皆さんはどう思いますか。むやみに「自由を、さもなくば死を」とか言わないほうがいいって。


上のツイート内の画像は「私は自由を主張するが、その代わりに治療等を辞退する」という宣誓書です。そしてツイートの文章は「反対集会に行く人はこれ携行してくださいね。あなたがたが一部社会主義者のような社会のお荷物になるのは嫌です」と書かれています。激烈な言い分ですが、ツイートした人は憲法の修正第2条がいう自由を大事にする保守側の人だとわかります。つまり、アメリカの保守全体が狂っているわけではないという証拠の断片です。

真面目に言いますが、私がもし直ちに経済を再開する派なら、「私は死んでもいいです。罹患しても治療しないで。再開反対派が私の接近を拒んでも、それを差別などといいませんので安心して。私も近づきませんから」くらいの内容を宣誓します。そして、自分が「再開派」であることがわかる「バッジ」とかを誰にもはっきりわかるように服につけて移動します。

再開派の皆さんもこのくらいしてよ。そんなに理不尽なお願いじゃないと思うんだけど。