アメリカという甘美な幻想

南カリフォルニアはオレンジ郡に住むオヤジです。妻共々サラリーマンでしたが、2011年にグリーンカードが当たり、アメリカへの憧れに抗しきれずに2012年10月に移住してきました。個人輸入代行やコンサルタントを生業にした後、2016年からは会社員(人事、法務など)に。移住する遥か前から積み重ねてきた様々な「アメリカ体験」も含めて文章に残すためにこのブログを書いていますが、会社員復帰以降は忙しすぎて更新は稀に。。。面目ない。

ホテルカリフォルニア

2009年:心機一転カリフォルニアとネバダの旅(4-最終回)

7/21-24

とうとうロサンゼルス圏にやってきた。基本的に、輸入代行の対象となる優れた商品を探るという目的を果たすため、色々なショッピングモールや店を巡ることに時間を割いた。

アメリカで感心するのはスーパーのレイアウトだ。特に生鮮食品の並べ方がうまい。

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これは日本で既に一定の人気があることを知っていた「Bath & Body Works」。これを個人輸入したい方に輸出することは簡単ではない。ハンドソープなどはいいのだが、ミストなどのアルコール含有製品(可燃物)を送るための発送方法に制限があるため。

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などという話はご興味がないだろうから、この旅で、ロサンゼルスで感じたことを以下に記したい(これは興味を持たれなくても語らざるを得ない)。

僕らは「Beverly Hills 90210」のファンだったので、機会があるとほぼ必ず登場人物が共同で住んでいる設定になっていた青いひさしのビーチハウスを訪れた(本当に何回行った事やら)。

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「ビバヒル」のビーチハウス

ここで写真を撮っていると、君らの写真、撮ってあげようか?と現れたのがゲーリーさんだった。ここに来て写真を撮る日本人があまりに多いので、僕らが日本人だと知っていて声をかけてきた。

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ゲーリーさん

ゲーリーさんは50歳で会社を辞め、ここハモーサビーチ(Hermosa Beach、ロサンゼルスのやや南にある街)にワシントン州から移り住んで毎日好きなことをしていた。50歳まで一生懸命働いたので、もう働く気はないという。但し大金持ちではないから派手な生活もしておらず、車はホンダで日本製を愛好していると言っていた。

この時僕は45歳。あと5年で彼のような自由な生活が送れるとは全く思わなかったが、この美しい西海岸のビーチで生活することそれ自体に対しては強烈な憧れを抱いたことを覚えている。何をして飯を食うのかの処方箋もないまま、とにかくアメリカで生きること、西海岸で生きることに青臭く憧れる45歳というのはとても正しい在り方とは思えないが、まあ、そういう気持ちになることについてはどうしようもなかった。

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滞在中よく行ったスーパーが日本人にエコバッグが人気のホールフーズマーケットだったが、ここでアルバイトをしていた女の子に試食を促されたことがきっかけで話す機会があった。彼女はいわゆるアニメ・マンガおたくだった。僕にはほとんどついて行けなかったが、彼女は「日本の文化にとても興味がある!」と目を輝かせて言っていた。「ハイテク日本」という評価があることは知っていたが、こんな分野で日本が注目されていることはこの旅で初めて知った。

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僕は日本人だし日本が好きだ、などとあえて口に出すまでもなく母国が好きだが、一点絶対に納得できないことがある。それは群集心理や集団心理が非常にネガティブな方向にも作用する国民性だ。

群集心理や集団心理は東日本大震災の時で明らかなように、日本人の優れた倫理性や規範意識の源にもなっているのだが、一方で「皆が(単に)同じ方向に向かう」ということの方が「皆が正しい方向に向かう」より優先されてしまうこともことのほか多い。

例えば、何故「馬鹿なこと」だとわかっているのに「意味のない残業」をするのか。そして、誰もが意味がないと知りながら、実際に無意味な残業を否定する人間が現れると急に論理性を失い、「組織の和を乱す」だの訳の分からない情緒的な意見がはびこりだすのか。

アメリカは万能ではないし、それどころか日本と比べて劣っていることはたくさんあると思うが、「残業することは恋人や妻や子供と時間をともにすることより重要だ」、などと考える人はまずいない。意味のあることに自主的に時間を費やすことは当然ありえるが、無意味なことを強制され、唯々諾々と従うなどという人はいない。

この一点で、僕はアメリカで生きることに魅力を感じていた。その一点が、僕が日本という国で生きることを息苦しく感じさせていた。そして、雨と湿気と寒さが苦手な僕にとって、カリフォルニアの青空と乾いた砂漠は住環境としての魅力を放っていた。

それは妻にも同様だったようで、彼女はこの年から秘密裏にグリーンカードの応募を開始していた。しかし、そうした願望にもかかわらず、アメリカで暮らすことが出来ると本気で思うことは2011年にグリーンカードに当たるまではなかった。

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 ”The Beverly Hills Hotel”は名盤「Hotel California」のジャケットに採用されたホテルだ。

 最後に憶えているのは…俺が出口に向かって走っていた時のことだ
 俺は、以前いた場所に戻る道を早く探さなきゃって思ってたんだ
 すると「まあ落ち着いて」と夜警が俺に語り掛けてきてこう言うんだ
 「チェックアウトはいつでも可能ですから。
       ただ、ここを離れることは絶対出来ないんですけれどね」


「ホテル・カリフォルニア」は、アメリカンドリームの終焉とかカリフォルニアの退廃への嘆きとかを歌いこんだ曲だと言われているが、僕らはそんなことにはお構いなしに、ホテルの前でこの曲を聴き、写真を撮り、名残惜しい気持ちを引きずりながら翌日日本に戻った。

2004年、ロッキーの西側を走った(その四)

この日はペイジからフェニックスまでは、ほぼ南に一直線という感じで進んだ。

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行程のほぼ真ん中にはFlagstaff(フラッグスタッフ)という町があるが、ここはまさに「ロッキー最南端」にある町だ。ここを過ぎて南に行くことは、即ちロッキー越えをすることだ。一体何回ロッキーの上り下りをしているのか。Flagstaffを過ぎると最近とみに有名になってきたSedona(セドナ)を通る。Voltex(ボルテックス)と言われる「自然の気」みたいなものが湧きでる町として有名とのことだが、そんなことを知らなかった我々は”一気に”通過した。

フラッグスタッフがあるロッキー最南端を下りセドナを経て砂漠に入っていく道程は、緑とせせらぎがずっと道路に寄り添うように走っている。ここでラジオから流れたのがMarcy Playgroundの「Sex and Candy」だった。初めて聞いたこの曲は、あとで調べると1997年のリリースだという。タイトルもタイトルだし、歌われている歌詞は走っている場所と何もリンクしないのだが、メロウなメロディーとけだるい歌い方、しかしささくれだった粗めの演奏が何故か景色とペアで忘れられなくなる、そんなこともあるのだ。


山間部が終わるといよいよ砂漠だ。フェニックス一帯はソノラと呼ばれる砂漠で、日本人が知る典型的なサボテンがやたらに目に入る場所だ。フェニックスにいよいよ近づき、食事をとろうとショッピングモールで車から降りてのけぞった。暑い。120°F近くある。つまり49°Cだ。僕は喜んでいたが妻が調子が悪くなってしまった。

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このアメリカの典型的露店型ショッピングモールで妻は軽い熱中症になった

フェニックスはどうにも困った街だった。予備知識なく行ったことは反省するが、大きい割に何もない。小さくないから的が絞れない、そんな印象を抱いた。モーテル選びもてこずり、決まったのは夜8:00過ぎだった。
妻ではないが「ここは性にあわない」と思えた。

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翌朝LAに向けて出発。難しいことは何もなく、I-10で西へひたすら行けば、終点はLAとなる。道中、非常に気味の悪い場所を通った。Palm Springs(パームスプリングス)という町だ。風力発電のメッカとのことで発電用の白い風車が何万台と建てられ、羽が無表情に回っていた。無機質で感情のないロボットのようで印象はよくはなかったし、その中を通過していくのはシュールだった。

LAについてからは基本的にはショッピングを楽しむが、今回は絶対にやりたいことがあった。それは僕のビートルズオタクとしての欲望を叶えることだ。彼らの曲に「Blue Jay Way」というものがある。これはLAに実在する道路で、アンニュイでやや不気味なメロディーとアレンジで、以下のような歌詞が歌われている。

 LAは霧に覆われている / それで友人が道に迷ったしまった
 もうすぐ着くよと言っていたが / 道に迷ってしまうとは
 遅くならないでほしいな / 遅くならないでよ
 これ以上時間がかかるなら / もう僕は眠ってしまうよ

このBlue Jay Wayに、とうとう行った。オタク以外には何ら楽しさは感じないことだろうが、旅とは他人に理解されない個人の欲望を自分なりの方法で満たすことなり。

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LAでしたいことは更にあった。前年に映画「Mulholland Drive(マルホランドドライブ)」をビデオを借りて観て、舞台となったその道路を是非走ってみたかったのだ。ハリウッドの山の稜線を這うような道路で正直悪路といっていい道路だったが、走り屋には面白いのだろうと思えた。沿道の家々は高級で、普通の平民では住めない住宅地だとすぐにわかる。

ビバリーヒルズには過去にも何度か行っていて、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」のジャケットになった「The Beverly Hills Hotel」も見に行ったが、デジカメで撮ったのはこの年が初めてだったので掲載しておく。

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