年末年始は近場で遊んでいて、1月5日に営業を開始するとすぐウチの購入代行の主力商品であるiPhoneの「Apple純正SIMフリー版」が出てこれの対応に追われ、運動不足から肩こりとこめかみあたりの頭痛が慢性化し、そしたら2014年第4四半期の予定納税の時期が来てなんとも忙しく、結構このエントリーを書くまで時間がかかってしまった。

で、今日は表題の話を書きたい。

大晦日以降カリフォルニア州オレンジカウンティーは晴天に恵まれ、僕と妻は地元近辺を巡る小旅行をして休みの殆どの時間を費やした。カツカツの生活をしつつ癌で一日二回投薬を必要とする猫がいるので、今は出かけても12時間以内に戻るような旅しかできないが、それでも自宅から10kmほどの、行く気なら毎日行けるビーチでさえ今も訪れるたびその美しさに心が躍る。

12月31日は、夕方から地元のビーチに「最後の夕陽」を見に行った。

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自宅から10kmほどのラグナビーチ(Laguna Beach)は普段よりはかなり人が少なかった。浜辺は真っ青な空に浮かぶ大きな太陽の光を受け、逆光がシルエットを生み出していた。僕はこのシルエットが何故か好きだ。なんというか「西海岸のワビサビ」をいつも感じる(恐らく誰にも共感してもらえないと思うが)。

その後ニューポートビーチ(Newport Beach)のコロナ・デル・マー(Corona Del Mar)という地区のビーチに行った。いよいよ暮れ始める太陽の光を受けて、セピアに染まって行くビーチは息を飲むほどに美しかった。沈む夕陽を見ながら「来年の飛躍を誓う」はずだったが、美しさに見とれて写真を撮るうちに陽が沈んでしまった。

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僕や妻にとっては、南カリフォルニアの気候は「日本を離れてでも住みたいと思う最重要理由の一つ」だ。日本人が日本を離れてここに住むとなれば、それは何かと物入りで大変だが、住んだ後はこの気候が「毎日無料」で楽しめる。南カリフォルニアを除いて、このような気候を手に入れることが出来る地域は地球全体でもほとんどない。金持ちがいくら金を払っても買えない。だから僕は、南カリフォルニアの気候こそ「贅沢の極地」だと思っている。

あなたがもし、やはりここに魅せられて住みたいと思うのなら、僕は訳知り顔で「やめときなさい」とか「住んだ後どうやって生活するの?」などと水を差す気は全くない。是非そうすればいいと思う。「南カリフォルニアで暮らす」ことについて否定的な要素が見いだせない僕が「やめときなさい」みたいなことを言うのは激しい矛盾だからだ。どっちにしろ決めるのはあなただし。

翌1月1日、海と砂漠の両方を見ようと計画を立て、「サンディエゴ → エルセントロ → パームスプリングス → 家」という時計とは反対周りのルートを考えた。

サンディエゴの海は、より正確にはラホヤ(La Jolla)地区の海で、同名の高級住宅地やカリフォルニア州立大学サンディエゴ校がすぐそばにある。昼前に到着すると多くの観光客が既にいて、駐車スペースを探すのが大変だった。

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南カリフォルニアの海は本当にどこでも素晴らしいが、このビーチの水の透明度は頭抜けていると思った。色々見過ぎて、すぐに次の目的地に行くつもりがここで結構時間を費やしてしまった。

その後インターステート8号線でサンディエゴから110マイルほど東にあるエルセントロを目指すと、
iPhoneのマップを見ていた妻が途中のかなり長い区間で非常にヘビーな渋滞になっていることに気づいた。ほどなくその渋滞に飛び込んでしまった僕らは予定を変更し、次に出てきた出口で適当に降り、適当に下道を走りながら州道94号線というのに乗り、「メキシコ国境付近のアメリカ」を楽しむことにした。

メキシコとの国境と言えばサンディエゴとティファナがおなじみだが、94号線は国境にそって山深い場所をくねくねしながら進む道路で、非常に趣深いものがあった。途中正に国境(Tecateという町)まで進む州道188号線の分岐があったので行けばよかったが、何しろサンディエゴで時間をかけ過ぎたので先を急ぐことにした。

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ところで、94号線の沿道にはところどころ雪が残っていた。

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多くの日本人にとって南カリフォルニアに雪が降ることを想像するのは難しいと思う。僕も今でもそうだ。しかし雨季が始まる冬になり、海側で雨が降っているときは、気温によって山では雪が降っていることがある。12月30日までの数日は悪天続きで、気温は海側では結構厳しい寒さと言える5℃くらいまで下がっていたので、
メキシコ国境付近のサンディエゴ郡内とはいえ、結構標高の低いところでも雪になっていたのだろう。実際、12月31日に天気が回復すると、僕の地元の、車で20分ほどで行ける標高500メートル前後の山が白く雪化粧しているのが見えたし。

ちなみに、
地元の山に雪が降ったのを見たのは渡米以来今回が初めてだったが、その山の更に奥(=東)には2000~3000メートル級の山があって、そこには冬はきっちり雪が降る。実際僕の家から車で2時間ほど東に行ったところにあるビッグ・ベア・レイク(Big Bear Lake)は「スキーリゾート」だ。カリフォルニアは雨も降れば雪も降り、午前中海岸でサーフィンや海水浴を楽しんだ後午後からスキーをするという遊びが可能だ。アーノルドシュワルツェネッガー前知事が言っていた「なんでもアリフォルニア、カリフォルニア」というセリフ通りだ。

94号線周辺には鉄道が走っていた。線路があり、鉄橋があり、踏切があった。そしてキャンポ(Campo)というところを通過するときには、沿道に「Pacific Southwest Railway Museum」という看板もあった。その時は普通に通過したが、家に戻ってから気になって調べ、最終的に「Carrizo Gorge Railway」という鉄道のことを知り、Youtubeで映像を見て非常に興奮した。実際には見てないのに興奮するってのも変だが、国境付近の砂漠と山しかない「あの場所」を鉄道が走っているというのは、見てなくても興奮してしまうのだから仕方がない。

キャンポを過ぎると間もなく州道80号と交わった。猫のことを考えるともう東進はここいらが限界だったので、そこから数分ほど北上して州間ハイウェイ「I-8」に乗り、一路西進した。ただ、普通に帰るのはつまらないので、今回往きに使った太平洋側を通るI-5ではなく、その手前のI-15でエスコンディード(Escondido)まで行き、そこから州道78号線で海(オーシャンサイド=Oceanside)に出て、17:00には家に戻った。

1月2日、3日、そして4日も、
もう長くなるので詳細は書かないが、近場をドライブしたり近所をロング散歩したりして南カリフォルニアを堪能した。

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これはご近所さん。残念ながら僕の家ではない。端的に言って高くて買えない。


冒頭にも申し上げたが、南カリフォルニアは凄いところだ。都市の利便性、雄大で美しく時に荒々しく武骨な大自然、この二つを同時に丸ごと享受できる。そして言うまでもなく乾燥した晴天が300日近く楽しめる。また、特にオレンジカウンティー以南の海側の地域は、住宅地も非常に美しく整備され、街全体が樹木と芝生で彩られ、治安は最高にいい。

だから、これも冒頭に言ったことの焼き直しだが、もしあなたがアメリカに住みたいとして、そして僕にどこがいいかアドバイスを求めてくれたとしたら、僕の答えは南カリフォルニア一択になる。しかもオレンジカウンティ―がよりいいと思う。衒いもためらいもなくそう申し上げたい。心からそう思うから僕と妻はここに住んでいるのだし。