翌朝の道程は、スナイダーからニューメキシコ州のAlamogordo(アラモゴード)まで。この日は珍しく見たい場所が2か所もあった。

06-05
Snyder -- 650km --> Alamogordo (NM)

 Carlsbadには世界遺産の「カールズバッド洞窟群国立公園」がある。そう、洞窟だ。何故写真がないかというと、暗い洞窟でフラッシュは憚られたからだ。

CIMG1394

「自然の不思議」に事欠かないアメリカを再認識し、Roswell(ロズウェル)へ。

06-06

ここは1947年にUFOが墜落した(ことになっている)町で、上の写真のようにそれが観光の目玉になっているし、NHKでも放送された宇宙人モノ「Roswell」はまさにここが舞台だ。我々はこのドラマとその主題歌「Here with Me(Dido)」が大好きだったので是非来たいと思っていた。UFO関係の演出は結構チープだったが、住宅地としての小奇麗さが意外だった。

ロズウェルを出てUS-70を西に向かうと前方に山が見えてきた。大平原もとうとう終わりを告げるのだろう。夕方アラモゴードに到着。

翌朝アラモゴードの宿から向かったのはホワイトサンズ国立公園だった。ここも旅前から楽しみにしていたところだ。

06-09
Alamogordo -- 580km --> Santa Fe (NM)

CIMG1430
ホワイトサンズ
 
石膏できた雪のような砂は幻想的で、耳の血管を流れる血の音以外聞こえるものがない静寂は驚異的だった。他の砂漠とは一線を画した美しさは正に圧倒的だった。一方、原子爆弾は1945年7月16日に初めて起爆されたが、その実験場がアラモゴードにあった。その後一カ月もせず、その成果は広島と長崎で試された。どんな国家にも汚点はあるだろうが、この原爆による民間人虐殺はその中でも最も醜いもののひとつかもしれない。

一旦Las Cruces(ラスクルーセス)という町に出てからひたすらI-25を北上。悪い意味での同じような景色がずっと続く道だが興味深いことが二つあった。一つは「Truth Or Consequences」という町。「真実、または帰結」とでも訳すべき名前だ。標識で町名を発見したとき宗教がらみではないかと思い、少し怖くて立ち寄らなかった。後に調べたらこういう由来だった。

― もとの市名はホットスプリングス(Hot Springs)といった。1950年、ラジオの人気番組であった「トゥルース・オア・コンシクエンシーズ」の司会者、ラルフ・エドワーズ(Ralph Edwards)が「この放送のあとに地名を『トゥルース・オア・コンシクエンシーズ』に改名した町で番組の放送を行なう」と公言した。全米から立候補が集まり、その中からホットスプリングスが選ばれ、市名をトゥルース・オア・コンシクエンシーズと改めた ― (ウィキペディア日本語より)

そして、僕がドライブ中に聞いていた全国ネットAM局の政治トークショー。この時は金正日が核実験をやったばかり。この司会者は激烈なトーンで彼をこき下ろしていた。Kim Jong Ilの綴りと発音をもじって「Kim Jong Mentally Ill(キムジョン精神病)」と何回も繰り返していた。こんな司会が全国放送であっていいのか、と軽いカルチャーショックを受けた。