アメリカ時間3月13日、トランプさんが緊急事態宣言を発令。ロサンゼルスやその周辺では、学区内の小中高の時限閉鎖が続々と発表された。これで子を持つ親が働きに出ることが難しくなり、在宅勤務が加速することになった。当社もそれは同様だ。

翌日土曜に妻と近所のトレーダージョーズに行ったが、保存がききやすいものは軒並み売り切れていた。コメやパスタなどが最初に売れ、その後缶詰が売り切れ、水が狙われ、最後は冷凍食品および冷凍保存可能な肉類という順番でなくなっていったようだ。

ビールなどを買ってレジに並び、「この在庫状況はいつ改善す...」とレジのお兄さんに尋ねようとすると、彼は僕が全文を言い終わらないうちに、まさに速射砲のように答えてくれた。

「毎日。本当に毎日商品は入荷してるんですよ。でもね、朝からものすごい数の人が来店してすぐに棚は空っぽになるんですよ。みんな”Fear Buy”してる。狂っていますね。信じられない」

僕は「Fear Buy」という言葉を初めて聞いた。「不安買い」とでも訳すべきか、それとも「恐怖買い」か。まさに今、全米がそんな感じになっている。先週Palm Springsに行ったときは、まだトイレットペーパーでさえ買えたのに、たった1週間で完全に様相は変わったようだ。

トレーダージョーズを出、お値段高めのホールフーズに行ってみた。ここも同じような状態になっていた。ケーキみたいなどうでもいいものを買ってレジに並ぶと、店員が他の店員と話していた。

「あんた昨日シフトに入った?めちゃくちゃだったわよ。全部のレジに25人ずつ並んでたんだよ。それがいつまでも続くんだから!ヒュー。」

そこは8つレジがあった。そこに25人ずつ並んだ状態ということは200人がレジ待ちか。そんなこと、クリスマスでもあり得ないし、実際クリスマスの3倍くらいの混みかたって感じだろうと思う。

まともな食糧が買えない僕と妻は、最後にGelson'sという恐らくもっとも売値が高いスーパーに行ってみた。トイレットペーパーとハンドサニタイザーは当然ながらなかった。米やパスタもなかった。しかし、わずかながら非日系の即席ラーメンが残っており、サーモンやサーディンの缶詰はかなり残っていた。驚いたことに水もわずかにあった。他のスーパーの倍、安売り時の3倍の値段だからのこんな時でも売れ残っていたのだろう。僕らは缶詰と水を少し買って帰宅した。

そもそも在庫切れ騒動はコスコから始まった感があるが、大量売りと安さの観点でコスコから「Fear Buy」の火ぶたが切って落とされたのは当然だったのだろう。その後も値段が安い順に大量買い「DDOS攻撃」を受け、缶詰一缶を1000円で売るGelson'sが最後の攻撃対象になっている。今はそんな状況である。