アメリカという甘美な幻想

南カリフォルニアはオレンジ郡に住むオヤジです。妻共々サラリーマンでしたが、2011年にグリーンカードが当たり、アメリカへの憧れに抗しきれずに2012年10月に移住してきました。個人輸入代行やコンサルタントを生業にした後、2016年からは会社員(人事、法務など)に。移住する遥か前から積み重ねてきた様々な「アメリカ体験」も含めて文章に残すためにこのブログを書いていますが、会社員復帰以降は忙しすぎて更新は稀に。。。面目ない。

サンフランシスコ

カリフォルニアの住宅事情‐サンフランシスコという狂気

前回で終了したアメリカ東南部の旅行記の後は、その地域の様々な意味での特性などに関する考察を載せる予定でしたが、ちょっと違う話から書いてみたいと思います。


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タバコの価格の話を取り上げた際、「サンフランシスコで4人家族が普通に暮らすには、世帯年収1千万円ではもう無理だそうです」と書きましたが、もう「無理」とかそういう次元じゃないみたいですよ。BBC20187月のネットニュースで、既にこんなことが書かれてました。

 

“サンフランシスコとその近くのSan Mateo郡とMarin郡では、4人家族の世帯年収が117,400ドル(約1300万円)が「低所得」とみなされ、73,300ドル(約800万円)では「非常に低い所得」とみなされる。この数値はアメリカで最高となっている”


は?1300万円が低所得?800万円で「非常に低い」って何?そんなバカな話、あります?これがあるんです。家賃が高すぎて話にならないわけです。
 

サンフランシスコの高賃料は、6桁(10万ドル≒1070万円以上)の収入を得ている家族を「低所得」と規定する状況に至っている。2ベッドルームアパートの同市での適正市場賃料は、1ヶ月あたり3,121ドル(≒33.5万円)で、2008年の1,592ドルのほぼ2倍になっている。一方、オハイオ州シンシナティでは845ドル(9万円)だ。 この住宅価格の差(270%)は、家族の平均収入の差(50%)よりはるかに大きい。(同ウェブサイト記事より)

 

というわけで、カリフォルニア、就中サンフランシスコエリアでは人々の賃金は高騰しているのですが、それ以上に賃料や住宅購入価格が上がってしまっており、それを主要な原因として「4人家族の世帯年収が117,400ドル(約1260万円)が低所得とみなされ、73,300ドル(約790万円)では非常に低い所得とみなされる」という状況に至ったというわけです。

 

なんだかピンと来ませんので、世帯年収をわかりやすく1300万円とし、扶養家族2名で税金社会保険関係控除率が大体25%くらい(本当はもっと取られるかも。401Kとかで源泉されるお金とか含めてないし)としてシミュレーションしてみましょう。額はすべて年間の額とします。

 可処分所得:975万円(1300万×75%)

家賃

400万(34万円×12

食費

60万円(三食全て家で作ったとして月に5万円×12

車関連

96万円(普通のセダンをリースすると毎月2万円。燃料代も2万。旦那さんと奥さんで1台ずつ必要なので毎月8万×12か月)

水道光熱

48万円(上下水道が月7500円、電気7500円、ガス5千円)

通信費

36万円(テレビ&ネットが月1万円、スマホ4台で月2万円)


ここまでで640万円が使われた。残金は335万円。


これに加え、消耗品費、被服費、医療費 - 仮に健康保険は全額会社負担、支払うのは通院した場合の自己負担分のみとしてもなお - などは、いくら払いたくないと言っても払わざるを得ないだろう。これらを合計30万でやりくりすると(恐らくこの見積もりは甘すぎると思うが)、残金は305万円(学費は高校まで公立ならただ)。

車の保険は年費用を一括で支払うが、カリフォルニアで何かあったときに入っているべき保険の内容を考えると、ミニマムでも15万円(但し2台カバー)はかかると考えるので、残金は290万円。


勿論まだ生命保険代は入れてないし、遊興費も入れていないし、車、テレビ、パソコン、家具などの買い替えや修理費用も含めていない。アメリカ人が大好きなペット(基本犬)の食費や健康維持費も入れていない。車のリース時は大体普通のセダンで20万は払うことになる。

1300万円の年収なのに、確かにきつい。やっぱり家賃の400万が尋常じゃない。


それじゃぁ年収800万円だったらどうなるんでしょう。

税と社会保険関係の控除が20%として可処分所得は640万円。あれ?これだと上の家賃から通信費までの支出合計だけで640万円だから、もうこれ以上の支払いは無理。破綻だ。なんてことだ。

カリフォルニアに住みたい方々、サンフランシスコ界隈の住宅事情(値段)は最悪のようです。南カリフォルニアならまだなんとかなります。次回はそのあたりを書いてみましょう。

カリフォルニアの喫煙者

なんだよ。アメリカ東南部の話じゃないのかよ、とお怒りの諸兄。まあ、どんな話から先にするかくらい、自由でいいじゃないですか。

 

さて。アメリカに住みたい方、タバコ吸います? アメリカに来ても、吸います? だとすると、経済的にいって、カリフォルニアは最悪の場所ですね。吸うところはあるんですよ。商業地域にもオフィス街にも必ず指定場所がありますから。

でもね、高いんですよ。どんなに安いタバコでも、かつ最も安く売っている販売店でも、1箱$6.50700円強)からスタートですね。毎日1箱吸う人、タバコ代だけで毎月21000円払うの、痛いですよ。

Marlboro_Price
 マルボロが850円。買います?

喫煙するなら東南部がおススメです。安いです。昨年はフロリダで、今年はサウスカロライナとかバージニアとかで確認したことですが、カリフォルニアで700円のものが300円から売っていましたから。しかも、路上で吸うのもOKのようだし(多くが歩きながら吸っていました)、車の中でもガンガン吸ってるし(禁煙レンタカーでさえものによってはタバコ臭がします)。

 

とはいえ、日本人が住むなら圧倒的に西海岸(か東海岸北部、つまりはニューヨーク)ですよね。そもそも他の地域では仕事を見つけるのが大変ですから。

 

でも、カリフォルニアの家賃の高さは知ってますよね。僕が渡米前に買った家は日本で言うところの60平米の1LDKで、これを2016年暮れから賃貸に出しているんですが、今の家賃は1680ドル(約185000円)ですよ。これでも地域で一番安く貸しているくらいなんですよ。

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 2012年8月、1ドル80円の時に16万ドル(1400万円)で買った家

サンフランシスコなんかとんでもないですよ。最新のニュースでは、「2 Beds 2 Baths(※)」の賃貸料の常識的な額が34万円くらいになっているそうです。

 

  ※日本の2LDKに近いが、正確には「リビングダイニングキッチン、
   2つのベッドルーム、そして2つのトイレ&バスがある家」という意味

 

そんな「2-2の間取り」を借りることが多いのが4人家族ですが、サンフランシスコで4人家族が普通に暮らすには、世帯年収1千万円ではもう無理だそうです。例えば、旦那さん600万円、奥さん400万円の年収では普通に生きていけというのです。この生活コストの高さはニューヨークを上回り全米一だそうで、もう狂気の沙汰です。

 

ということで、カリフォルニアで喫煙者をやるのは結構ハードですよ。え?俄かに禁煙したくなった?では次回くらいに禁煙方法とかを書いてみます。私も筋金入りの喫煙者だったので。アメリカ東南部の話はまた追って。

2009年:心機一転カリフォルニアとネバダの旅(1)

2007年夏に転職する際、有休を使って行った走行距離11000kmのアメリカドライブ旅行。非常に充実した気持ちで転職してみると、いきなり面接時に合意した職務ではない仕事をあてがわれるは、その年の12月には胃癌が見つかるはで、2007年後半から2008年はさんざんな年になり旅行どころではなかった。

2009年に2月に再度転職したが、そこでもいろいろあった上に5月に身体を壊し、6月いっぱいで退職を余儀なくされた。もう年齢的にもサラリーマンに戻れるなどとは考えられず、内心では外国人をクライアントとする行政書士かアメリカ商品の個人輸入代行のいずれかで独立することを決意した。

辞めると決意すると病の状態は急速に改善し(しがらみを断つ気になると往々にして病は治る)、僕は7月になって2年ぶりに妻とアメリカに行くことにした。状況的に東海岸を回るような大規模な旅は出来なかった一方、病み上がりの僕が実際に行きたいと思ったのは僕が愛してやまない砂漠だったし、輸入代行の対象としてどんな商品があるか、たくさん見て回りたいという狙いもあり、今回は原点に戻ってカリフォルニアとネバダを旅することにした。

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全行程

2009/7/17
成田からサンフランシスコへ。到着後、宿を取っていたサンフランシスコの少し南のある町、ブリズベン(Brisbane)に行き、そこでモーテルにチェックインしようとするとパスポートを落としたことに気づく。航空会社や関係する機関などに電話しようとすると留守電が入っており、利用したユナイテッドエアに届けられていることが分かった。最悪の危機を脱し、この時ばかりは本当に安堵した。

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慌てて電話する僕(を撮る妻の余裕よ)

この日は1日サンフランシスコを観て回った。ゴールデンゲートブリッジとか、ピア39などの定番的な場所のほか、ずっと行きたかったキャンドルスティックパークに行った。ビートルズの「最後のコンサート」はここで行われ、オタクとしては行かざるをえなかった。なお、僕にはサンフランシスコは寒すぎる。素敵な街だと思うが浜風の影響が強すぎ、寒すぎる。サンフランシスコ近辺を移住候補地から除外したのは、その理由一点だった。

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CandleStick Park

7/18
まずはサンフランシスコの南側を海を見つつ進み、Googleを見てからヨセミテを横断し、最後にビショップという町まで行く予定の一日。

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サンフランシスコ ー(500㎞)→ ビショップ

この日の太平洋は霧がかかって何も見えず、早々にGoogleがあるマウンテンビュー(Mountain View)へ。休みで人は居なかったけど、かえっていろいろ自由に見れた。

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Yahooなどネット関連の会社がたくさんあるこのあたりを抜け、I-680、I-205、CA120などを使ってヨセミテへ。

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低地の砂漠から山の緑への劇的な変化はカリフォルニアの醍醐味だ。

ルート通りにヨセミテ(実はシエラネバダ山脈の一部)を観ていくとやがて下り坂になり、下りきるとそこには
モノ湖(Mono Lake)があった。色々な意味で珍しい湖なので今度機会があったらじっくり見たいと思う。

ここでUS-395に乗り100㎞ほど南進し、この日宿を取っていたビショップ(Bishop)で落ち着いた。なお、US-395はおススメだ。機会があれば走るべし。

1995年、単なるパッケージ旅行の衝撃

31歳の時、1年の遅れの新婚旅行として「ロサンゼルス、ベガス、サンフランシスコ6泊8日の周遊旅行」というベタな旅に妻と行きました。この時「事件」が起きたのです。それは「景色」でした。大都市間を移動する飛行機から眺めた風景に、大自然に、私は驚嘆したのです。

旅程4日目だったか5日目だったか、とにかく私達夫婦はラスベガスからサンフランシスコに移動しました。マッカラン国際空港から機が離陸して、家々がシムシティーの画像のように小さく林立して見えた後、景色の中心は砂漠になりました。すると、その何もない褐色の砂漠に、道が一本まっすぐに走り、それが遥か遠くの地平線の彼方に消えていくのが見えました。「何だこれは!何だこのスケールは!」そう思わずにはいられませんでした。

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LAXから日本へ帰る時は、向って右側の窓からこのような風景が見える

そもそも、日本からロサンゼルスに着く間際に見た景色に既に少し心が動いていました。行ったことがある方はお分かりかと思いますが、進行方向左側の座席にいれば、機体に近い順から青い海、街、砂漠、そしてシェラネバダ山脈が一望に出来る時があります。その時はじわじわとこみ上げてくる感動の正体が何なのか言葉に出来ないままロサンゼルスに降り立ったのですが、ラスベガスからサンフランシスコに向かう機上で上述の「砂漠の一本道」を見て、日本では見ることのできない壮大なスケールの自然にいたく感動していることに気づきました。

もっと正確に言えば、「自然と都市のコントラストが尋常ではない」と思ったのです。砂漠を中心とした大自然だけならオーストラリアにもアフリカにもあるでしょう。しかし、世界最大の先進国の、その中でも繁栄を謳歌するロサンゼルスやベガスなどの大都市でその利便性と享楽性を味わった直後に、想像を絶するスケールの手つかずの自然を見てしまった時、このあまりの落差に私の感性は茫然とするしかなかったのです。

ところで、このような周遊旅行をすれば、一都市にせいぜい二日しか滞在できませんのでやれることは非常に限られます。しかもこの時は感動の大半が大自然の風景で構成されたため、各都市の記憶は以下のようなものになってしまいました。

ロサンゼルス
ホテル(オムニロサンゼルス)併設の売店でカップヌードルを食べてまずさに驚いた。

ラスベガス
グランドキャニオン・セスナツアーに参加したが、急に気持ち悪くなり機中で吐いた。
ホテル(ラスベガスヒルトン)で食べたルームサービスのパスタが美味くて驚いた。

サンフランシスコ
ケーブルカーには乗った。
日本食が恋しくなり、日本料理屋ですき焼きを頼んだ。凄まじくしょっぱかった。

帰国後、私はこの旅で感じた衝撃をどう整理していいかわかっていませんでした。ただ、とにかく次の旅もアメリカがいいとだけ思いましたし、(サラリーマンの妻は特に)短い休暇なのだから、3都市を6泊8日で回るとかいうのは止めて、まずはロサンゼルスから詳しく見てみようと思いました。3年後の1998年、「ロサンゼルスだけ見る旅」でそれは一応果たされました。

追記:一応旅行データを書いておきます。

期間

1995922日~929日(68日)

エアライン

JALエコノミー

ホテル

オムニロサンゼルス / ハイアットリージェンシーアリカンテ(アナハイム)⇒ ラスベガスヒルトン ⇒ スタンフォードコート(サンフランシスコ)

目的

パッケージ内容に従って移動。グランドキャニオンツアーは自前で予約。いい景色が吐いてしまって台無しに…。

 
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