僕は輸入代行という仕事で日本のお客様から日本円で代金を頂いているので、アメリカで生活してるのに未だに円を基準にしてモノの値段の高低を感じることが多い。

なので、1ドル120円の今、アメリカのサンヨー食品が作り、日系スーパー「ミツワ」で5個入り1パック3.99ドルで売られている「サッポロ一番みそらーめん」の値段は、僕にとって「3.99ドル」ではなくあくまで「約480円」ということになるし、2年前1ドル80円だったころは「約320円」だったから、今の値段は「異様に高いなぁ」という感想を持つ。言うまでもなく「サッポロ一番みそらーめん」は一貫して3.99ドルなのだが。

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日本で「サッポロ一番みそらーめん5袋入り1パック」はいくらだっただろか。正確な記憶はないが、近所の西友で渡米前(2012年)に198円とかで売っていたような記憶がある。従ってアメリカ製造版はそれより高いということになるわけだが、これは「日本のラーメンの味に近づけたラーメン」を製造する原価が結構アメリカでは高くなるからだと思う(
アメリカ産サッポロ一番みそらーめんの味は、日本のものに肉薄している)

この理論の基礎となる事例として、アメリカ現地生産の「日清のカップヌードル(以下「CN」)」があげられる。一度食べてみるとわかるが、当該CNは、下の写真の通り化粧箱もどきの不必要な「梱包」がされて高級感が醸されているにもかかわらず、味は日本のものとは比較にならないほどチープだ。

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スープには日本の即席めんならどんなものにでも必ず感じることが出来るはずの鳥、豚、または魚介などのダシ成分の味がほとんどなく、奥行の何もない醤油と塩味のお湯を飲んでいる感じがする。加えて具もひどい。日本のものには採用されている肉も卵も一切含まれず、ニンジンの切れ端とグリーンピースなどが散見されるだけだ。

日本のモノに比べると明らかに低クオリティーなこのCNは、やはりそれ
に見合う低い価格がきちんとついていて、Costcoなどに行けば24個入りが7ドル以下で買える。1個30セント弱、円換算36円だ。ここまで原価を抑えて商品を作れば、当然売値もここまで安くできるということなのだろう。ちなみに日本から輸入した赤いきつねは大体いつも4ドル(480円)する。50%は物流コストだろうと思う。

では1ケース12缶入りのコーラ(1缶355ml)が4ケースで10ドル(+税8%+CRV)は安いのだろうか。

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写真はペプシだが、コカ・コーラも同じような価格で売られている


「CRV」というのはカリフォルニア州が飲料のボトルや缶に課しているリサイクリングフィーで、購入数に応じ数セントから数十セントかかるのだが、これはまあ無視して考えて、コーラ48缶が10.8ドルということは:

 10.8÷48缶=0.225ドル
 0.225×120円=27円/缶

である。これはやっぱり安いとしか言いようがないだろう。しかし…1ドル80円の時だったら18円/缶だったのか…。

日本の物価と比較したいものはまだ他にもある。ビールだ。

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実はアメリカでもアサヒスーパードライ、キリン一番搾り、サッポロ黒生が売っている。日本からの輸入ではなく現地生産のものだ。渡米以来ずっとコロナを飲んでいたので気付かなかったのだが、一月ほど前日系スーパーで価格を見て腰を抜かした。いや、正確には下のような宣伝ポップを読んだ後、計算しながら腰を抜かした。

セール!アサヒスーパードライ 24缶 14.49ドル+Tax+CRV

「14.49ドルで24本か。安そうだな…。あれ、1本いくらだ?あれ、60セントくらい?嘘、ビールが60セントってあり得る?」などと言いながらアイフォンの計算機を使って税込で約65セントであることを確認。さらに120円を掛けて大体1缶あたり78円であることを確認し、そのスーパードライを買ってみた次第だ(
しかし「今1缶78円」のビール、2年前は「1缶52円」だったのか…)

それから1か月、上述の3種類のビールは全て試してみたが(サントリーのビールはこちらにはない)、いずれも日本のものとは味が違っているもののまずくはないし、コロナは24本で20ドル前後なので費用対効果も日系ビールが上であるため、今はこの3種をローテーションを組んで飲んでいる。なお、アメリカの代表的なビールであるバドワイザー、ミラー、クアーズも24本で20ドル前後で買えるが、ご存知のように味が薄すぎて水を飲んでいるようなので、僕は間違っても買わない。

とうことで、一旦大量生産の軌道に乗った商品は、アメリカでは非常識なほどに安くなる。Costcoもウォルマートも「その値段はないだろう!安すぎる!賃金の安い発展途上国から搾取しないとそんな値段は実現できないぞ!」という低価格な品物で溢れている。ところが、料理人や職人などが時間と手間をかけて売るモノやサービスとなるとアメリカは極端に高くなる一面もある。そのあたりは近々「アメリカの物価に対する雑感(高いもの編)」を書くつもりなので、そこで触れたいと思う。