朝ラブロックを出るとアイダホに向かった。「行ったことのない州がひとつ減る!」という邪(よこしま)な気持ちが抑えきれなかった。超絶なスケールの、まだ見ぬ土地をこの目で見、走り抜けられる喜びを隠しきれなかった。

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Lovelock -->Pocatello

I-80でWells(ウェルズ)という町まで行き、そこでUS-93に入り北上すると、州境の町にして「大当たり!」という意味の縁起のいい町、Jackpot(ジャックポット)になる。簡単に言ったが、ここまででラブロックから約500kmだ。

US-93で印象的だったのは雲だ。綿あめのような雲が、ぽかりと、しかしくっきりと浮いていた。おあつらえ向きの標高で、おあつらえ向きの空気の澄みかただったのだろう。他に何もないが、それがいいのだ。ここで食事をとって出発するとほどなくアイダホに入った。

アイダホを走っている時、この牧歌的な雰囲気にはやはりカントリーがあうのではないかと思ったが、印象に残った曲の記憶がない。念のためにハードディスクレコーダーに焼いていたこの時のビデオを見てみたが、ほぼ全編家から持ってきていたシェリル・クロウだった。でも、それで記憶が蘇った。シェリルの曲が終わってラジオに変えると、ほどなく流れた曲、それがThe Callingの「Wherever you will go」。


アイダホといえばポテトと学校で習ったし、昔はアイダホのジャガイモを使っていると宣伝していたスナック菓子もあった。確かにアイダホに入って畑が広がっているのを確認したが、それがジャガイモかどうかはわからなかった。

比較的大きなTwin Falls(ツインフォールズ)に着き、少し街中を走って様子を見、その後I-86に乗って東を目指した。
走る以外何もしない。景色が流れ行くのをただ目に焼き付け、とにかく走った。特定の目的地はなく、行ける所まで行くという感じで最終的にPocatello(ポッカテロ)という町でインターステートハイウェイを降り、宿をとった。きれいで洗練された町だった。

翌朝、とにかくWyoming(ワイオミング)州に入ることを目的にして、
ポッカテロからI-15でIdaho Fallsまで行き、そこからUS-26を道なりに進んでみた。緑なす山と青い空の下、道の横を小川が流れ、そこに可憐な花が咲き誇る…牧歌的な景色が秀逸なドライブコースだった。その時は気付かなかったが、そこはロッキー山脈だった。

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Pocatello --> Afton

やがて大きな貯水湖を過ぎるとそこが州境で、いよいよワイオミングに入った。最初の町、Alpine(アルパイン)でUS-89に入り更に南下をつづけた。緑が基調の美しい景色はまだまだ続いていた。

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Palisades Resovoir(パリセイズ貯水湖)。別にきれいじゃないけど他に写真がない。

このUS-89周辺は「Star Valley」と呼ばれる美しい自然を誇る野生保護区があった。確かに綺麗だった。しかし冬は豪雪だ。会津西方の豪雪地帯生まれの僕だからこそ、ここには住もうという発想にはならなかった。だからと言って摂氏50度の砂漠のほうがいいというのも変なのだろうが。
 
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「イエローストーン大生態系」に属し多種多様な動物がいるという。まあそんなことより、綺麗だった。

US-89を素直に下って来るとAfton(アフトン)という町に着いた。ちょうど食事時だったので僕はバーガーキングを食べた。妻はサブウェイだった。


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Afton --> Draper


アフトンから更に道なりに南下していくと、再度アイダホに入った。更に進むとBear Lake(ベアレイク)という大きな湖に出た。ここからまたまた山道が始まったのだが、要するにまたロッキー越えを開始したわけである。そうか、タイトル間違えた。「ロッキーの西側」じゃなくて「ロッキーとその西側」にすべきだった。

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この時から看板フェチは始まった / ベアレイク

道中はキャンプやラフティングを楽しむ大勢の人々がいた。やがて下り坂になって平地に降りると、今度は右手にGreat Salt Lakeが、行く手にはSalt Lake Cityが出てくる。一応モーテルも探しながら市内を見てみるが妻は何か不満そうだ。「ここは何か違う」。出た。ああそうですか…。まあ確かにモルモン総本山の町なので、少し独特のにおいを感じたのだろう。

更に南下していくと突然の雨が。叩きつけるような雨だ。時間的にも潮時だろうと言うことでDraper(ドレイパー)で見つけたモーテルにすぐにチェックインした。