IRS、日本語ではアメリカ合衆国内国歳入庁、平たく言うと連邦の税務署から封書が来た。こわごわ封筒を開けてみると一通のお手紙が。

冒頭にTHE WHITE HOUSE(ホワイトハウス)と書かれ、件名は「Your Economic Impact Payment Has Arrived(あなたの経済対策金が到着)」であり、宛名は「My Fellow American(我がアメリカ国民同胞の皆さんへ)」であり、最後の署名欄はドナルド・トランプ大統領閣下だった(サインの個性的なこと!)。

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内容は一言で言えないので全文訳します。

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アメリカ国民の皆様:
私達の偉大なるアメリカは、現在地球規模のコロナウイルスパンデミックにより未曾有の保健衛生及び経済にかかる困難を経験しています。私どもの最優先課題は国民の健康と安全です。私どもはこの見えざる敵との全面戦争を遂行しながら、同時に、勤勉なる皆様のようなアメリカ国民を現下の経済活動の停止状態から生じる悪影響から守るべく時を惜しんで努力しております。私どもは、皆さまやその家族がこの困難な時期を克服するために必要な支援を確保できるよう全力を尽くしております。

2020年3月27日、アメリカ連邦議会は党派を超えた圧倒的な支援とともに「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES Act)」を通過させ、私は誇りを胸にこれに署名し、成立させました。私は連邦の上下両院に対し、アメリカ国民同胞への救済が待ったなしの状況下、政府とこのように迅速に協働して2.2兆ドル(≒230兆円)の法案を通してくれたことに感謝申し上げたいと思います。

これには、あなたへの素早く直接的な支援策が含まれています。

これをお知らせることを私は誠に喜ばしく感じておりますが、あなたには上述のCARES Actに基づきXXXドルの経済対策金が直接支給されます。我々はこの支給金がこのような状況下においてあなたに役に立つものであることを祈念しております。

すべての米国市民は、利他的で勇気があり、他者を思いやる心があることに大いに誇りを持っているはずです。アメリカは、その活力、決意、革新、そして確固たる意思により過去のあらゆる困難を乗り越えてきました。この困難も必ず克服出来ます。そして、過去がそうであったように、アメリカは再び勝利し、更なる新しい高みに到達するでしょう。

今までになく強く一致団結し、それを果たして行きましょう。

大統領:ドナルド・トランプ

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拙い訳でしたが、どうでしたか?昨日この手紙を読んでびっくりして銀行口座を調べたら、確かに4月15日に入金されていました。私ら夫婦はこれまで7年以上きちんと納税してきましたが、最初は「アメリカ人ではないのでどうなるのかなぁ」と思っていました。でも、受給資格は「納税者であること」だったので、そのとおり支給対象者にしてくれたようです。

支給対象がアメリカ人でなくとも手紙上は「Fellow American」と呼ばれるんですね。まあ、いちいちこの部分を変えてたら手間でしょうがないでしょうからね。あ、当然ですが私達の受領額は隠させてもらいました。数字から年収がバレてしまうのでw ちなみに支給額の計算式は以下のウェブサイトに詳しいですよ。



ところで、この手紙の意図はなんでしょう。この郵送費用だけでも相当な金額ですよね。無駄っちゃ無駄。トランプが国民にアピールしたいのも自明です。しかし感心するのはアメリカの政治家の国民に語りかける能力です。トランプに限らず歴代のアメリカの大統領と比べ、日本の首相の言語能力は少し寂しくないでしょうか。

国民に自分の決意や判断を言うような重要または緊急な場面で、ペーパーに目を落として話をする日本の首相を見てると、カメラをまっすぐ見て国民に語りかける程度の資質は持っていてほしいな、と思うんです。メモに頼るべきディテールは、そもそも各担当者に言ってもらえばいいのだし。

そういえば、日本ではいつ10万円の支給が始まるんでしょうね。IRSが全米の納税者に一気に送金するという無駄のない手法を取れたのだから、日本も国税庁が一発で送ることが出来るような気もしますが、ここに県とか市区町村とかが介在すると遅くなるでしょうね。あ、そもそも受給希望者が申請する方式でしたっけ。日本ではそうせざるを得ないのかな。急ぐことが最優先のときだから申請とか採用しないほうがいいような気もしますが。

ではまた。