やっとアメリカ東南部の旅の話です。ですが、今回の記事はただのイントロです。早く本編に進めや、とお怒りの諸兄。本当すいません。

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日本でサラリーマンだった僕が、毎年のように有休を利用して妻とともにアメリカ本土(陸続きのアメリカ)をレンタカーで巡ることを無上の喜びとしていたことは何度もここに書いてきた。
2007年までに本土33州を制覇したことも、それ以降、2012年に渡米してからでさえもなかなかそのような旅ができなくなっていたことも、しかし昨年、フロリダに行ったことで34週目の訪問が叶ったことも書いてきた。


そんな僕と妻が427日から54日まで、南はジョージア、北はペンシルベニアまでの都合8州を巡るレンタカーの旅に行ってきた。さすがにカリフォルニアから車で行くわけにはいかず、前日(金曜)の夜10時に仕事帰りにそのまま空港(LAX)からアトランタに飛んだ。飛行時間は4時間弱だった。


この旅の計画当時の主たる目的は、まだ訪問していない州になるべく行くことだった。時系列で訪問した州および行程を示すと、ジョージアサウスカロライナノースカロライナバージニアメリーランドデラウェアペンシルベニア。ここまでが北上する旅。

ここからはワシントンD.C.(州じゃないけど)
ウェストバージニアバージニアノースカロライナサウスカロライナテネシー、そしてジョージア・アトランタに戻って終了という感じになる。全行程はおおよそ2500マイル(4000km)だった(下のGoogle Mapでは約2000マイルと表示されているが、実際の旅の経路はところどころ異なる)。


2019旅程
大体の行程

太字の8州に訪問したことで、本土における訪問済みの州は42州となった。残るはメイン、ニューハンプシャー、バーモント、マサチューセッツ、コネチカット、ロードアイランドの6州だ。紅葉を見に秋にでも行こうか考え中である。


さて、前述の通り、この旅を計画していた時に何を楽しみにしていたかと言えば、それは訪問していない州に行くことと、いくつかの主要な観光地を訪問することだった。なんというか、無邪気なものだった。気軽なものだった。だがアトランタから大西洋方面に向けてレンタカーを運転し始めてから1時間ほどで、なんだか旅の様相が変わってしまった。


その決定的な要素は、別エントリーで書いたが「教会」だった。大げさでなく、どんな田舎でも5分ごとに教会が出現するのだ。アトランタ空港を後にしてすぐにそれに気づいて注目してみると、それらはほぼ「バプテスト教会」だった。

この光景は、僕の「東南部は信仰に熱心な人が多い」という程度の薄っぺらな知識を呼び起こした。そう。それは知っていた。だが、ここまで教会の数が多いのは何故なのか。一体この土地はどういうところなのか。アメリカに関するその他知識を総動員してもこれ以上の想像をすることは出来なかった。


ちなみに、僕が2年半在籍した大学はいわゆるミッション系と呼ばれるもので、宗派はメソジスト派だったが、僕はこの旅の後に急いで調べるまで、メソジストの概要や位置づけさえ知識を持ち合わせていなかった。また、僕と妻が結婚式を挙げた教会はルーテル派だったが、なぜルーテル教会を選んだのかといえば、市ヶ谷という立地を好感した以外に深い意味は何もなかった。今考えるとお恥ずかしい話だ。


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右からバプテスト教会、ルーテル教会、母校(メソジスト)の教会

多くのバプテスト教会を目撃したことをきっかけに、僕はこの地域に関する歴史や問題を調べ、少し深く知ることになった。東部13植民地であったこの辺りにまつわる事柄は、基本的にはアメリカ建国や南北戦争などアメリカ合衆国の歴史の主要部分にかかわっていた。

また、日本や他州で暮らしていては想像するのが難しいほど、今も古い生活様式や思考に縛られている人が多いことや、アメリカで最も貧しいのはこの辺りだということも今まで以上に理解が深まった。


まあそうした話は別の機会にすることにして、次回からしばらくは「お気楽な旅日記」にお付き合いいただきたい。