アメリカという甘美な幻想

南カリフォルニアはオレンジ郡に住むオヤジです。妻共々サラリーマンでしたが、2012年10月に移住してきました。個人輸入代行やコンサルタントを生業にした後、2016年からは会社員に。移住する遥か前から積み重ねてきた様々な「アメリカ体験」も含めて文章に残すためにこのブログを書いていますが、会社員復帰以降は忙しすぎて更新は稀に。自由の国、アメリカを含めた全体主義への流れ。これを絶対に食い止めましょう!

2015年05月

英語:発音の正確さが「全て」という状況もある


前にアメリカで生きるのに必要な最低限の英語力の話を書いたが、先日安倍首相がアメリカでスピーチした際、英語の発音がひどかったということで一部から激烈なバッシングを受けたと聞いている。確かに安倍さんの英語の発音はひどかった。でもそれをあげつらう意味が全く分からない。

 

安倍さんがスピーチコンテストに出たと言うのなら話は別だが、彼は日本の首相の立場でアメリカの上下両院の議員に向けて何かを伝える機会を得、その伝えたいことはきちんと理解してもらえ、だからこそ万雷の拍手を受けた。目的に対してきっちり効果があったではないか。

 

伝えた内容が拙劣だとか、理解されなかったとか、日本の立場を危うくしたというのなら彼の職責に照らし大いに非難すべきだと思うが、「きちんと相手に伝わった英語」の「発音」を殊更に非難してどうするんだろう。もう一回言うが、上下両院での演説は「英語自慢の人たちのスピーチコンテスト」じゃないのだ。

 

ところで、安倍さんの英語の発音でアメリカで生活できるか、という話をしたい。

 

以前にも書いたが日系人の多い地域で生きて行けば、そもそも英語は最小限の使用で生活可能だ。だが、当たり前だが英語力が不足する状況はアメリカで暮らす上で少しもいいことはない。何か面倒なことが起きたとき自分だけでは対処できないのだから。

 

実は先日、僕のもとにHonda(勿論アメリカの)から手紙が来た。僕の乗っている「2005Honda Civic Hybrid」のエアバッグに不具合が見つかったのことで、リコールする旨書かれていた。近くのHondaのディーラーに電話して、エアバッグの交換の予約をせよとのことだった。

 

すぐに電話してみたが、電話番号を聞かれ、名前を聞かれ、車のVINナンバー(16桁くらいのアルファベットと数字で構成される製造番号のようなもの)を聞かれた。そして最後に「部品が3か月待ちなので、在庫が入ったら知らせる」ということで会話は終了した。

 

すぐにでも交換できそうな文面の手紙を送ってきながら結論は3か月待ち、というのは極めてアメリカ的であるが、まあ会話自体は極めて初歩的であった。初歩的ではあったが、「日本人の典型的な発音」では恐らくこの会話は成立しない。普通の会話ならネイティブは文脈を考えながら発音の間違いを脳内で補正してくれるが、それ自体では意味を持たないアルファベットと数字を相手に伝える以上「発音が全て」になる。しかも電話を通してだから尚更だ

 

僕はずっと典型的な日本人の発音であっても特段恥ずかしがる必要はないし、実際言いたいことが伝わるならそれで十分だという立場に立っている。「ビーフ、ワンパウンド、プリーズ」とカタカナで発音してもまず間違いなく相手は「Beefone pound分」売ってくれる。が、今回の例のようにその時のシチュエーションや話の文脈から相手が発音の間違いを補正しながら聞いてくれることを期待できない場面、すなわち「発音が全て」と言う場面もあるのだ。

 

自分の名前のスペル、電話番号、そしてVINナンバーなど、単にアルファベットと数字を伝えるという簡単なことなのに相手に理解されないのは厳しい。特に今回はリコールの話だ。命にかかわる。なので、発音はいいに越したことはない。僕の以前のエントリーを読んで発音なんて「どうでもいい」と思ってしまった方がいたら、それは違うので誤解なきようお願いしたい。

と、書いたあと2時間が経ったが、追加があるので書いておく。

こちらでスペルを言う際は、たとえば「Kanimo」だったらこんな風に確認しながら伝えることがある。

 "K" for Kitchen   "A" for America   "N" for Nebraska
 "I" for Iowa   "M" for Monkey  "O" for Oregon

つまり「KはKitchenのK、AはAmericaのA…」のように、誰でもわかる単語を引き合いに出して自分が話したㇲぺルを相手に理解させるのである。しかし、それでも発音がまずかった場合は相手を混乱させることは十分ありえる。

たとえば「Victor」と言いたくて「V for Vermont」と言ったつもりでも、日本人の典型的な発音で”V”を「ブイ」と発音してしまえばこれは絶対に伝わらない。そこで、それに注意して「ヴィー」と発音した(つもりになった)ところ、今度は先方には「B for Bermont」と聞こえてしまう…そんなドツボが考えられるのだ。そしてやっかいなことに「Bermont」という名詞(地名)は存在するので、「Victor」は「Bictor」として理解されてしまう可能性も低くない。

そう考えると、やはり発音は少しは練習しておいた方がいいかもしれない。

「典型的なオーナー企業」の対極にある企業

愛猫の死からずっと書けずにいたのは、そのショックが大きかったからではない。僕らも猫も頑張ったのは間違いないし、ある意味納得さえしている。要は単純に「新しいビジネス」で忙しくてブログを書く時間がなかったのだ。

 
 ***
 

僕は今コンサルタントをしている。何のコンサルタントかについては詳細は書けないが、何しろご縁があって、ある日系企業の委託を受けて業務を行っている。仕事を進めるにあたっては、この企業のオーナーであるK社長と打ち合わせをすることも無論多いわけだが、K社長の経営者としての人生観や哲学は少し驚くべきものだった。

 

彼は日本の大企業に就職後、志願してアメリカに駐在。駐在終了のタイミングでアメリカで起業して山あり谷ありの人生を送りながら今の企業を成長軌道に乗せた。サービス対象が日本に住む日本人なので、アメリカの会社の社員も殆どが日本人で構成されている。

 

そんな彼が語ったこと。

 

 ・社員の人生観、価値観はとても重要なもので、それを捨ててほしくない。

 ・会社には会社の価値観や使命感があるが、社員はそれに無理に合わせるのではなく、
  自然にシンクロしてもらうのが理想。

 

「会社に人生を賭けろ!24時間戦え!」みたいなオーナーさんにありがちなギラギラした意識がまるでない。社員には働かせてやっているなどというおごった意識もゼロで、むしろ「働いてもらっている」という感謝の気持ちが強い。

 

そんなに社員に感謝するってことは待遇が良くないのかと思いきや、給与や福利厚生のレベルはアメリカの日系企業の中でもトップクラスだったし、ある金曜の夜、7:00PMに働いている社員を見て「週末にそんなに働いてどうする!」と声をかけ、「僕はこれから妻と食事を楽しむから!」と言って帰っていく。

 

僕はこんなオーナーに会ったことはない。

 

日本時代、僕は東証一部上場の大企業から50人規模の小さいところまでオーナー企業に勤めたことがあるし、人事として他の企業の社風やオーナーの発想も知っているけど、彼らはまさに働かせてやっている、給料を払ってやっている、何時になろうが働くのは当たり前、家庭の事情が仕事に優先するなんてもってのほか…そんな風に考えるメンタリティーの人が殆どだった。

 

そんな彼らの「鞭を打って働かせる手法」と、K社長の社員を愛おしんで働いてもらう手法。社員にとってどちらがいいかと言えば後者がいいに決まっている。後者に欠点があるとすれば、そのような職場環境を当たり前に思い、いつのまにか社員が甘えだしたり増長したりすることだろうか。

 

日本人がアメリカで働きたいと思う場合、普通のアメリカ企業で働くのは極めて難しから基本日系企業が就職先の第一候補になるだろう。そしてLAをはじめ大都市周辺には日系企業はそれなりにあるわけだから、皆さんも色々検討する必要があろう。その中で、この企業を就職先として推薦するかと言われれば、僕はもろ手を挙げてお勧めする。

 

会社の名前を言えないのが残念だが、何しろこんな会社もあるのだなぁ。。。

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