それまで「アメリカの旅行者」だった僕ら夫婦が「移住者」になったのが2012年10月。それからこれまで暮らしてきて、日本との決定的な違いに戸惑ったり怒ったり呆れたりしたことが随分ある。勿論「これは素晴らしい!」と感心したこともある。
このカテゴリでは、実際に暮らしてみて初めて見えるアメリカについて書いてみたい。
今回は「アメリカンないい加減さ」について書く。アメリカは日本に比べればいい加減、というのは現代の基礎知識なので移住する前からわかっていたが、移住後の生活インフラを整えるに当たり、問題なくサービスを開始出来たのは日系の携帯電話だけだった。あとは全て、大なり小なり問題があったのである。
以下は移住から45日以内に起きた「アメリカンないい加減」である。慣れない日本人がどれほど困った目に遭ったか、全て完全ノンフィクションなので是非驚いて欲しい。
01)家のプラグ
移住前に事務所兼自宅として購入した1990年築のコンドミニアム。ここの電気コンセントがゆるゆるで、20数個あるうち半分以上がプラグを挿しても普通に抜け落ちる。
02)家のキッチンの水漏れ
シンクから水が普通に漏れている。
03)家のトイレ
タンクに水がたまったあと、徐々に抜けて中が普通に空っぽになる。
04)前の住人が残してくれた電子レンジ
5分連続で使うと電気が普通に切れる。何故か1時間後に普通に電源が戻る。
05)修理業者
上記を修理業者に頼んだが、連絡が無茶苦茶。朝7時前に自動で電話がかかってきて出ると切れる。かけなおすと「そんな電話は知らない」と言われる。しかし同じ番号からまた普通にかかってくる。
06)ベッド通販
IKEAのオンライン通販で買ったが、「24時間以内に重要なことがあるから連絡する」とデフォルトで購入確認メールに書いてある。なのに48時間待っても連絡が来ず、メールしても返事がないので近くのIKEAに行ってみると「通販のことは管轄外」と普通に言われる。
07)ベッド通販2
「重要なこと」が何だか分からないままいたら、数日後普通にベッドが届く。
08)管理費支払い
金曜の夜に管理費をオンラインで支払ってみると、「金は受領したがメルアドに問題があり確認メールが送れない」、とPC画面に出る。メールを入れて確認をお願いする。
09)管理費支払い2
翌週月曜になっても返事がない。火曜もない。水曜に普通に「受領しました」とだけメールあり。
10)クレカ
アメックスのクレジットカードを作れとCostcoの人に言われて、「経験上言うけどクレジットヒストリーがアメリカではまだないので認めてもらえないですよ」とこっちが言うのに受付のおばさんは「大丈夫よ!」とえらく明るく勧めてくる。トライしてみたが普通に却下される。
11)クレカ2
店員がAMEX側に再度「他に方法はないのか」と聞くと、銀行の残高証明をFaxで送ればいいよ、と言われる。実行後2週間待つと、Amexから封書が届く。「今回のお申込は却下されました。もしもう一度お申込みされたい場合は銀行の残高証明を添付し以下の書類をFAXしてください」と書かれている。普通に無限ループに誘われる。
12)TV・ネット
テレビとネットを使うべく、モーテルからオンラインでA社の75ドルのセットのオーダー手続きを行う。最後の画面で「447ドルのデポジットが必要」と出るので、ナビゲーターに意味を聞くと「アメリカでのクレジットヒストリー等がないと最初にデポジットが必要」とのこと。しかし「このデポジットは返還しません」と普通に言われて画面を閉じる。
13)ネット2
テレビとネットのバンドルで89.99ドルのプランをB社にオンラインで頼んだのに、最初の請求書に121ドルとある。オンラインで手続きした際の様子はキャプチャしていたしカスタマーサポートとのチャットも保存していたので抗議したが、普通に却下される。
14)車
やっとレンタカーから抜け出し車を買う。HONDAのシビックHYBRIDの2005年製だが、価格は10000ドルと日本の相場観では信じられないくらい車の市場価値は落ちない。購入当日、スーパーで知らぬ間に車体右側を普通にぶつけられる。
15)配送会社
アマゾンなどで買ったモノを配送会社のドライバーが玄関前に普通に無言で置いていく。
16)備え付けの食器洗い機
使う習慣がなかったのでずっと使わなかった食器洗い機を使ってみる。するとドアの隙間から普通に泡がワラワラと出てくる。
17)火災感知器
ベーコンエッグを焼いていたらいきなり火災警報機が鳴る。その後豚肉を焼いても牛肉を焼いても大丈夫だったので再度ベーコンエッグを焼いたら普通に警報機が鳴る。どういう仕様だ。
いかがだったろうか。このようなことがアメリカでは普通に起こり、何もわからない日本人が一人で一個一個解決していったのであるが、渦中にいる間の不条理感は半端ではなかった。でもまあ、今は「アメリカならこのくらい普通」と思えてしまっているのだけれど。